不動産取引ガイド

不動産の持分

処分や管理が複雑になるため、不動産は共有にしない方が良いとされております。
それは何をするにも共有の為に書類の取り付けにも時間がかかる事もあるからです。
ただし、意図せずに不動産が共有化してしまうケースがあります。
それが相続です。

相続が発生すると、不動産は自動的に相続人の共有状態となります。
これを誰かひとりの名義にするためには、遺産分割協議をしなければなりません。
相続人が母と子だけ、という場合には問題となるケースは多くありません。
それでも、お子様が海外勤務で手続きが進まないといったケースや、お母様が認知症を患ってしまい手続きが進まないといったケースもあります。

他方、お子様がいないご家庭で相続が発生すると大変です。

お子様のいない方について相続が発生した場合、その相続権はたいてい配偶者と兄弟へと相続されます。
さらに、その兄弟が死亡していた場合には、その子供が相続人となります。

亡くなった旦那さんの相続手続きをするために、甥っ子と遺産分割協議をしないといけないといった事態が発生します。

甥っ子さんが小さいころは顔を合わす機会があっても、大きくなってからは久しく顔を見ていないというケースも多いのではないでしょうか。
そうなると、何十年ぶりの甥っ子への連絡が「遺産分割協議書にハンコを押して、印鑑証明を送ってくれ」ということになります。

連絡する方も気が進まないかと思いますが、連絡をもらう側も気持ちがいいものではありません。
話がこじれてしまうケースでは、ハンコ代の請求があったり、最悪の場合には裁判も、といった話もなくはありません。

不動産を所有している方は、「うちは大丈夫だろう」は禁物です。
残される家族のために、少しでも負担を減らすよう準備をしておきましょう。

また、夫婦で共有持分とされるケースもあると思います。
それは住宅ローン減税などを利用する場合には夫婦共有の方がより減税を受けられるのでお勧めもしておりますが、この場合は通常特に問題はないです。

ですが離婚となってしまった場合に、円満離婚でしたらスムーズにお手続きも進むかとは思いますが、少しでももめてしまった場合には書類の授受などにもお時間がかかる可能性もあるので、減税はより受けられますが売却となった場合には手間も増えると思います。

夫婦の場合は離婚して売却とならないようにするのも勿論なのですが、未来はわからないので仕方がない事もあります。
大きな買い物として代表する不動産なので、購入時にはあらゆる可能性も考えつつ購入していただくと良いと思います。

古さを武器に! リフォームで資産価値を守る中古住宅購入法前のページ

所有者不明土地・建物管理制度とは次のページ

ピックアップ記事

  1. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  2. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  3. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  4. 危険な場所は 地形図で見分ける
  5. 立地適正化計画をご存知ですか?

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    東京都内23区で不動産購入をする事のリスク?!

    今年の9月1日は関東大震災の発生から100年を迎える節目のタイミングで…

  2. 不動産取引ガイド

    驚きの結果。新耐震基準の木造住宅が倒壊する!?

    先日、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)が驚きの発表をしまし…

  3. 不動産取引ガイド

    基礎と同じ様に土壌も気を配って見てください。

    近頃マンション購入希望者の見学ツアーがあるのご存知ですか。建築…

  4. お金・ローン・税金

    注文住宅の資金繰りはマンションや建売と異なる

    家が完成してから購入するマンションや建売と、何もない状態から契約を行う…

  5. 不動産取引ガイド

    ルーフバルコニーのメリット・デメリット

    先日の取引で、戸建のルーフバルコニーについての話が出ました。ル…

  1. 不動産取引ガイド

    土地の種類に要注意
  2. 不動産取引ガイド

    あなたの家、キャパオーバーですよ!
  3. 不動産取引ガイド

    将来の家の価値に影響を与える「重要情報」を「一挙に収集」する方法
  4. リニュアル仲介通信

    都市部で進行するマンション空き家問題~資産になるマンション選び~
  5. 不動産取引ガイド

    マンション購入前に「大規模修繕」の予定期間を確認しましょう!
PAGE TOP