不動産取引ガイド

リフォームを「工事」と捉えるか「製品」と捉えるか

中古住宅を検討する際に欠かせないのがリフォームです。中古住宅の「汚い」イメージを払しょくできないと、「新築が買えないから中古」を脱却できません。

中古を買って思いっきりリフォーム。天然素材に囲まれた快適なリビングに、最新式のキッチン・お風呂…。

新築分譲戸建てや新築マンションは仕様や設備が決まっていることが多く、また、注文住宅でも一つ一つ細かく選ぶわけにもいかないので、フルオーダーというよりは、セミオーダー感覚で建てることが多く、買主様の「想い」や「こだわり」を実現する手段として、中古住宅をリフォームするというのはそれほど悪くない選択と言えます。

しかし残念ながらリフォームは簡単にはいきません。価格が非常に不透明だからです。

中古住宅のリノベーションに関する対談で面白い記事があったのでご紹介します。

「IKEAのキッチン」は、なぜリノベの現場で売れないのか?
https://diamond.jp/articles/-/203406

この対談記事は全部で3回あって、非常に面白い記事だと思いますので是非お時間のある時にご一読ください。

リフォームの費用が不透明なのは、業界の構造に問題があるのは間違いないのですが、工事業という側面が大きく影響すると思います。
リフォームといってもジャンルが多岐に渡るので一概には言えないのですが、中古住宅購入時に良く行われるキッチンやお風呂など住宅設備については、工事というよりは、メーカーの製品を購入して設置するだけ、というような印象が強いと思います。

先ほどご紹介した対談でも触れられているのですが、日本の住宅は共通の規格というものがありません。キッチン一つとっても、その広さは様々で、システムキッチンのサイズを固定してしまうと、隙間が出来たり、最悪の場合収まらない場合も考えられます。
ネット通販でリフォーム商材が販売される動きもあるのですが、キッチンやお風呂などの大型アイテムは、”上手く収まるか”が懸念されるため、一般の消費者でわかる範囲で判断できないのも事実です。

この”上手く収める”が工事業です。記事では多少の段差でも許容できれば…というような記載がありますが、生活に密着した箇所の段差はストレスになりますし、水回りの数ミリの隙間は維持管理に大きく影響を及ぼします。
そして”上手く収める”に対して、費用がかかり、そのコストは現場の状況によってマチマチなので、リフォームは価格が不透明と言われる原因の一つになっています。

かかるコストは1円でも安くしたいというのが買主の心情です。ですが、安さを求めるがあまりいい加減なリフォーム事業者に当たってしまっては本末転倒です。
見積書だけでなく、事業者の応対や会社の姿勢などを見て、多少見積りが高くとも、きちんと工事を行う事業者を選択した方が良いと思います。
特に中古住宅購入の際は、リフォーム事業者をじっくり選択する時間がない場合が多いので、あまり金額にこだわり過ぎず、「任せられる」「信頼できる」事業者かどうかをしっかり見極めたいところです。

2019 年5月度の不動産相場前のページ

ペットと暮らす不動産購入!おすすめリフォーム方法について次のページ

ピックアップ記事

  1. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  2. 危険な場所は 地形図で見分ける
  3. 立地適正化計画をご存知ですか?
  4. 住宅購入と 生涯の資金計画
  5. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?

関連記事

  1. マンション

    古いマンションは今後どうなっていく?

    あなたは、古いマンションを購入したら今後どうなるんだろうと考えたことは…

  2. お金・ローン・税金

    3種類の『耐震基準適合証明書』

    建築後一定期間を経過した中古住宅を買った場合、住宅ローン控除等が利用で…

  3. 不動産取引ガイド

    床上浸水した時の対処法

    今年は冬にも関わらず温かい日が続き久々にスキーの計画も立てましたがゲレ…

  4. 不動産取引ガイド

    戸建ての修繕計画と修繕積立金について考える

    今回は、戸建住宅の長期修繕にかかる費用についての話です。マンシ…

  5. 不動産取引ガイド

    「赤い土地」や「青い土地」?土地に色がついている!?

    先日、契約の前提として土地の公図(法務局備え付けの地図)を見ていたとこ…

  6. 不動産取引ガイド

    「ペアローン」で住宅ローンを組む方が増えています!リスクも増えている・・・

    ご夫婦で協力して住宅ローンを借りる「ペアローン」が拡大しているようです…

  1. 不動産取引ガイド

    中古住宅購入の経験者・予定者が「建物検査(インスペクション)」で重視した項目は?…
  2. 不動産取引ガイド

    フラット35での他のプランもご紹介
  3. 不動産取引ガイド

    通信環境の進化
  4. 不動産取引ガイド

    LCCM住宅(ライフサイクスカーボンマイナス住宅)【 省エネ住宅シリーズ】
  5. 不動産取引ガイド

    マンションの共用部分と専用部分の違いについて
PAGE TOP