不動産取引ガイド

耐震等級と一戸建て

耐震等級とは、建物が地震にどのくらい強いかを示す指標のひとつです。
2000年にスタートした「住宅性能表示制度」の中で規定されています。

耐震等級は3つの区分に分かれています。

耐震等級1:震度6~7相当の地震ですぐに倒壊・崩壊・大規模損壊しない程度。
耐震基準2:耐震等級1の1.25倍の地震による力でもすぐに倒壊・崩壊大規模損壊しない程度
耐震基準3:耐震等級2の1.5倍の地震による力でもすぐに倒壊・崩壊大規模損壊しない程度

耐震基準1より3の方が等級的には地震による力に強い建物と言えます。

マンションは、ほとんどが耐震等級1であって、長期優良住宅認定でも耐震等級2なのに対し、一戸建ては大手メーカーの注文住宅などの場合、耐震等級3がほとんどです。実は頑丈に見えるマンションより一戸建ての方が「耐震等級」性能が高いことが多いのです。

よって「家は絶対地震に強い一戸建てを買うべき」と言われることもありますが、支持地盤まで杭を打って耐震基準を順守して建てられているマンションが直ちに地震に弱いわけではなく、また、地震の被害は直接的な「揺れ」による建物倒壊だけではなく、間接的な「火災」「液状化」「津波」などといったものもあります。

首都直下地震の被害対策を検討してきた国の有識者会議の「都心南部直下地震」被害想定によれば、東京都の全壊・焼失棟数計333,000棟の内、「揺れ」による倒壊は約105,000棟なのに対し、火災による倒壊が倍以上の221,000棟とのことで、死者の数は建ても倒壊によるものが約4000人に対し、火災によるものがやはり倍以上の8,400人です。

つまり、地震の被害は、揺れによる「建物崩壊」だけではなく「火災」や「津波」によるものも多くあるので、建物が揺れで倒壊しないレベルにつくってあるからといって安心してはいられません。

また、災害は地震の他にも、台風、水害、竜巻、土砂崩れなどの被害もあり、大雨、雷、雹、防風などの時の居室内での人の感じ方でも一戸建てとマンションでは違います。

最近の一戸建ては地震の揺れによる倒壊危険度は低くなってきていると言われているのですが、木造の場合、一概に全ての災害に強いとは言えませんので、木造と鉄筋コンクリート造等、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、立地を含めよく検討する必要がありますのでご注意ください。

中古+リフォームの夢のある一戸建て購入前のページ

悪質なリフォーム業者には注意!!次のページ

ピックアップ記事

  1. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  2. 危険な場所は 地形図で見分ける
  3. 住宅購入は不安でいっぱい
  4. 住宅購入と 生涯の資金計画
  5. 立地適正化計画をご存知ですか?

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    国立西洋美術館が世界文化遺産になりそうです。

    台東区にあります国立西洋美術館がユネスコの諮問機関イコモスが世界文化遺…

  2. 不動産取引ガイド

    不動産購入時に「退職金で一括返済」の計画は注意が必要?!

    ■住宅ローンの「退職金で一括返済」は返済計画が上手くいかない?!5…

  3. 不動産取引ガイド

    南側道路物件の盲点。住まい探しの足かせになっているかもしれません...

    陽当りの良い家、皆さん好きですよね。これを求める為に、南側に建物が無い…

  4. 不動産取引ガイド

    迷惑行為…迷惑をかける側にならないような対策はしていますか?

    戸建てでもマンションでも近隣住民から迷惑行為を受けることもこのご時世あ…

  5. 不動産取引ガイド

    インスペクションは意味がないのか?

    宅建業法の改正とともに制度化された既存住宅状況調査(インスペクション)…

  6. 不動産取引ガイド

    土地の数え方 不動産のウンチク

    突然ですが、土地の数え方をご存知でしょうか。家屋やビル等は、1…

  1. 不動産取引ガイド

    東日本大震災から10年
  2. お金・ローン・税金

    住宅ローン減税特例適用「Yes・Noチャート」(戸建版)
  3. お金・ローン・税金

    2020年1月 フラット35金利のご案内
  4. 不動産取引ガイド

    9月1日は防災の日。豪雨や地震に対する公的補償について
  5. 不動産取引ガイド

    サイディング外壁の注意点
PAGE TOP