不動産取引ガイド

海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し 13 【ローン正式審査~決済編 2/6】

「海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し」シリーズ。今回は、「1.住宅ローンの正式審査申込」についてご説明したいと思います。

住宅ローンの審査は、国内居住の方よりも、海外居住の方が、厳しく行われることが珍しくありません。以前、このシリーズの中で、「売買契約後の正式審査で落ちてしまうことがないように、売買契約前に事前審査を行なう」といったことを書きました。フラット35以外の住宅ローンでは、事前審査がとおったのに正式審査で落ちる、といったことは通常はありませんが、絶対に落ちないとは言い切れません。年収に対する借入額等の審査は問題なくても、その他の融資条件を満たすことができず、融資が受けられないということもあるからです。

例えば、銀行指定の団体信用生命保険の加入が融資の条件になっているのに、その保険の審査で落ちてしまい、融資の審査も落ちてしまうということがあります。その他、銀行が求める時期までに住所移転ができない、という問題も起こりえます。一般的に、銀行からは、融資実行前に住民票を新しい家に移すか、遅くとも融資実行直後(1日、2日の間)には、住民票を新しい家に移すことを求められ、これが融資をする条件になっていることがあります。銀行としては、「住宅ローン」として融資しているからには、そこに住んでもらわなければ困るわけです。しかし、お客様からすると、仕事や、お子様の学校等の関係で、帰任するまで住所を移すことができない事情がある場合もあります。ですので、審査の過程で、以下の点を細かく確認しておく必要があります。

・住民票移転時期についてある程度猶予してくれるのか?

・猶予してくれないのであれば、家族全員の住所を変えないといけないのか?

・家族全員ではなく、まずは本人だけ移しておけば良しとしてくれるのか?

・あるいは、本人ではなく、家族の他の者(例えば妻)でも良いか?

これらを踏まえて、住所移転の手続きはどの帰国のタイミングでできそうか?や、郵送での手続きや、代理人での手続きはできないか?その場合に必要な書類は何か?などを確認していきます。例えば、このようなこともあります。海外からの転入(購入物件所在地)の場合は、役所でパスポートのビザページをチェックされ、ちゃんと帰国しているか確認されることがあります。海外赴任が終わり、帰国した後に、住所移転、金消契約、決済という順序で進むのであれば、問題ありません。しかし、お客様によっては、帰任よりも先に決済をさせたい方もいらっしゃいます。この場合、海外赴任中に住所を移すことになってしまいますから、パスポート上は、出国したままになっていることになりますので、問題です。

国内居住の方であれば、もし審査に落ちてしまっても、急いで他の銀行に審査を申込むなどしてリカバリーできるかもしれませんが、海外居住の方の場合、審査申込を済ませて海外に戻ってしまっていたら、そうはいきません。ローンが通らなければ、売買契約条項のひとつにある「融資利用の特約による解除」によって、契約がなかったことになってしまいます。せっかく、苦労して納得できる物件を見つけたのに、それが無しになってしまうのでは、悔やんでも悔やみきれません。手続きが面倒であっても、住宅ローンの正式審査は複数の銀行に同時に申し込むようにしましょう。

ローン申込のときに、添付書類として、「在留証明書」や「署名証明書」などの提出を求められますので、内見等で帰国するまでには、必ず取得しておきましょう。その一回の帰国で、希望の物件が見つかるとも限りませんが、もし見つかったときには、住宅ローン正式審査まで一気に手続きを進めていくことも有り得ますので、準備をしておくようにしましょう。

リニュアル仲介では、このようなことについても適切にアドバイスさせて頂きながら、お客様のお住まい探しをお手伝いしております。住宅購入を検討の方は是非ご相談下さい。

次回は、「2.各種証明書取得(耐震基準適合証明書、かし保険付保証明書、フラット35適合証明書)」について、説明していきたいと思います。

リニュアル仲介本部パイロット店 エージェント石川でした。

 

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