リニュアル仲介通信

万が一被災したらどうなるの?建物損害調査の流れ

熊本の地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復興をお祈り申し上げます。今回は万が一震災が発生した場合、どのような手続きを行えばよいのかについてご説明いたします。実際の震災時には窓口が混乱していて、受付対応が十分でなかったり、調査がずいぶん先になることも予想されますが、2次災害も考慮して冷静に対処する必要があります。

①やむを得ない場合でも緊急判断を求めましょう

201606通信1

倒壊または半壊した家屋に立ち入ることは危険です。相次ぐ余震で倒壊するかもしれません。薬など必要なものを取りに行かなければならない場合は、建築に携わったことのある人に意見を求めることが大切です。貴重品を持ち出したり、家の片づけを行いたい気持ちはわかりますが、建物の傾きや壁の亀裂など少しでも怪しいと思われる損傷が見られる場合は応急危険度判定までは家屋に立ち入らない方が良いです。

②建築士による応急危険度判定

201606通信2
応急危険度判定は公的な判定制度です。判定士の資格を持った建築士が全国から集まり、自治体を通じて「調査済み」「要注意」「危険」の判定をします。本来は急いで行う必要があるものですが、人命救助、最低限のライフラインの確保、避難所の整備等のほうが緊急性が高いため、少し落ち着いてから順次行われます。避難所生活の皆様は早く家に帰りたいところですが、まずは判定を受けることが大切です。

③自治体によるり災証明

201606通信3

ある程度状況が落ち着いたら自治体による被害認定を行います。「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」の判定で、「り災証明書」が発行されます。「り災証明書」は各種支援金や支援制度を申請する時に必要になります。
<参考>災害に関わる住家の被害認定基準運用方針
http://www.bousai.go.jp/taisaku/pdf/shishinall.pdf

④損害保険会社による損害認定調査

被保険者からの請求に応じて、専門の判定員が派遣され損害認定を行います。損害保険会社は全国から判定員となる建築士を募集して派遣するので、損害認定には多少時間がかかります。損害保険会社による損害認定と自治体によるり災証明の内容は同じではありません。自治体では全壊と認定されたのに損害保険会社で半損と認定されることがあります。

⑤住宅再建の際には建築士による耐震診断を 

今までのものは、危険性の判定や被災状況の認定であり、構造の判断ではありません。状況が落ち着いて、家屋の片づけとともに被害住宅の修繕工事が始まりますが、被災家屋の構造的な判断は専門家でも困難な業務ですので、修繕工事の際に建築士に依頼して耐震性を確認し、必要な耐震改修工事を実施することが大切です。


 

PDFファイルダウンロード

 


多様化するマンション 管理で資産価値を向上する?!前のページ

住宅は性能が第一次のページ

ピックアップ記事

  1. 立地適正化計画をご存知ですか?
  2. 土地価格の相場を知る方法
  3. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  4. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  5. 住宅購入と 生涯の資金計画

関連記事

  1. リニュアル仲介通信

    平成27年2月「貯金になる家」「消費する家」

    貯金になる家であるのか、消費する家であるのかは結果論ではありません。そ…

  2. リニュアル仲介通信

    平成26年8月 建物インスペクションを いつ実施すればよいのか?

    中古住宅を安心して購入するために欠かせないのが建物インスペクションです…

  3. リニュアル仲介通信

    立地適正化計画をご存知ですか?

    全国の自治体で住宅や商業、福祉施設などを一定の区域に集める「立地適正化…

  4. お金・ローン・税金

    住宅購入と 生涯の資金計画

    住宅購入は「人生最大の買い物」と言われるだけあり、非常に高額の資金が必…

  5. リニュアル仲介通信

    平成27年5月 修繕積立金の目安

    資産価値が下がりにくい住宅購入において、戸建てに比べ流動性の高いとされ…

  6. リニュアル仲介通信

    夢のマイホームは、本当に夢の中にしかない可能性があります...

    理想に100%合致するお住まいは、中々見つかるものではありません。そも…

  1. 不動産取引ガイド

    マンション建て替えしやすく 所有者合意2/3に変更される予定です!
  2. 不動産取引ガイド

    海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し 3 【事前準備~売買契約締結 編 1/9】…
  3. 不動産取引ガイド

    是非一度ショールームを見に行ってみましょう!
  4. 不動産取引ガイド

    戸建て住宅を検討されている方必見、外壁塗装診断で利用されるABCチェックについて…
  5. 不動産取引ガイド

    不動産売却によっては各種手当が受けられなくなる?
PAGE TOP