不動産取引ガイド

相続時の不動産名義変更について

この度、相続の関係で不動産の名義変更を行う事になり、いろいろ手続きで不明な点等もありましたので、不動産を遺産相続する場合の名義変更について書きたいと思います。いざ家や土地などの不動産を遺産相続しようとした場合に、名義変更で気をつけるべきことはいくつかあります。初めての事が多いと思いますので、今後の参考にお役立てください。

■遺産相続した場合、そのまま住み続ける・もしくは売却するにも必要な不動産名義変更について

不動産の名義変更とは、「不動産の所有者が亡くなった為、その名義を登録変更する手続き」の事です。被相続人が亡くなったタイミングから、不動産は自動的に相続人の所有物となります。それも遺産分割協議を行い、その相続の流れを明確にしなければなりません。しかし、自動的に名義変更されるわけではありませんので、法務局に行き、所定の手続きを行わなければいけません。

名義変更をしないまま放置していると、「この不動産は確かに自分の所有する不動産である」と主張することができません。また、売却する事も出来ません。なかには遺産相続したマンションに誰かが住んでいて、賃料を払ってもらわなければならないケースで、「不動産所有の証拠を見せてください」と言われても、証拠を見せることができません。

今回、相続の関係で必要書類を取り寄せ、いざ法務局に行った際、「被相続人の戸籍」の件で問題が発生しました。それは被相続人の戸籍は「生れてからの戸籍が必要」という事です。私は除籍謄本だけで良いものと思っていましたが、残念ながら生れてからの戸籍が無いと駄目なようです。また、本籍を転々と移している方は、移動した先々での謄本取得が必要なため、その先々の役所に申請を行わなければならないようです。

また、この手続きを行う為には遺産分割協議書を作成して、相続人全員が署名し実印を押し、印鑑証明や住民票、戸籍謄本も相続人全員が用意をしなければなりませんでした。

また、今回の名義変更にあたってはまとめると下記の資料が必要となる事が分かりました。

被相続人(亡くなられた方)
生れてからの戸籍謄本、除籍謄本、住民票(除票)
〇相続人
戸籍謄本、本籍の記載のある住民票
〇その他の書類
相続登記申請書、登記原因証明情報、固定資産評価証明書、登記にかかる登記免許税
遺産分割協議書(全員の印鑑証明書、住民票、戸籍謄本)
※今回は「遺言」が無かった場合のケースです。

■相続登記をするためには、どれくらいのお金がかかるのでしょうか?

名義変更を行う際には、「登録免許税」というお金がかかります。「税」という言葉から分かるとおり、国に納める税金です。

登録免許税がいくらかかるかは、不動産の価値によって決まります。不動産の価値は、「固定資産税の評価額」に書かれている金額です。計算方法は、固定資産税の評価額の0.4%です。

例えば、不動産の価値が3,000万円の場合は、3,000万円×0.4%=12万円です。

その他にも、戸籍謄本や住民票を取り寄せるための手数料がかかり、細々とした費用が掛かります。相続人が多くなればなるほど、取り寄せる書類が多くなりますので、手数料は高くなります。

■相続登記の申請先はどこで行うのか?!

相続登記の申請は、法務局で手続きをします。法務局は、日本全国にたくさんあります。どこの法務局で手続きをしてもいいわけではありません。名義変更をする不動産がどこにあるかによって、管轄の法務局が決まっています。手続きが自宅近くの法務局でできるとは限りませんので、注意が必要です。

■相続登記のタイミングはいつ行うのが良いのでしょうか?!

相続登記のタイミングは、「早ければ早いほど良い」のです。相続登記をする最大の効果は、「不動産が自分のものであることを、第三者に知らしめること」です。相続登記をするまでに時間がかかると、その間は「この不動産は誰のものなのか」ということがはっきりせず、名義が宙ぶらりんの状態となります。その間にトラブルが生じた場合、裁判を行って所有者を確定しなければいけません。

トラブルが発生した場合も早く登記を行えば、それ以降は「自分のものだ」と主張することができます。「自分のものである」という期間を長くするためには、早く登記を行っておかなければいけません。ちなみに相続登記をいつ行ったとしても、費用は同じです。早く相続登記をしておけば、多くのメリットがありますので、必要に応じて、専門家に頼むのでも良いと思いますし、まだ相続登記をしていない方は、お早めに相続登記をされる事をおススメ致します。

法人営業部 犬木 裕

2018 年6月度の不動産相場前のページ

実測売買と公簿売買の違い次のページ

ピックアップ記事

  1. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  2. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  3. 住宅購入は不安でいっぱい
  4. 住宅購入と 生涯の資金計画
  5. 土地価格の相場を知る方法

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    生活スタイルで変わる希望の間取り

    テレワークの浸透により、郊外への居住希望者が増えたというのは最近良く聞…

  2. 不動産取引ガイド

    大雨に警戒 屋内避難のポイントは?

    今年は、沖縄・奄美から東海地方にかけて、平年より早い梅雨入りとなり、四…

  3. 不動産取引ガイド

    不動産購入の知っておきたいポイント:戸建ての水道に潜む落とし穴とその対処法

    不動産の購入をご検討の皆様、こんにちは。今日は、皆様の大切な住まい選び…

  4. 不動産取引ガイド

    築40年前後の中古マンション購入を検討している方に知っておいて欲しいこと

    ■築40年を経過するマンションはどれくらいあるのか?!2019年(…

  5. 不動産取引ガイド

    室温の安定は血圧の安定につながる?!

    住宅内の温熱環境と健康との関係をご存知でしょうか。国土交通省では医…

  6. 不動産取引ガイド

    気になるエリアの「水災等地」を調べてみませんか?

    2024年10月から火災保険が改定されました。保険料は引き上げられるほ…

  1. お金・ローン・税金

    2021年4月 フラット35金利のご案内
  2. 不動産取引ガイド

    修繕積立金は安ければいいというものではありません
  3. お金・ローン・税金

    2019年1月 地震保険料改定
  4. 不動産取引ガイド

    後悔しない内装にするためには⁉
  5. 不動産取引ガイド

    水道料金が地域により最大8倍も違うのをご存知ですか?!自分の住んでいるエリアの水…
PAGE TOP