不動産取引ガイド

捨てることができない不動産の捨て方

以前、不動産を捨てる制度は現在の日本にはないとご説明しました。

そんな中、現行の法律で考えられる唯一の方法が、「相続放棄」の手続きです。

相続が発生した場合には、相続人は、被相続人の財産を「承継」するか「放棄」するかを選択することができます。

「放棄」する場合には、相続が発生したことを知ったときから3ヶ月以内に、裁判所に対して相続放棄の申述をする必要があります。

相続放棄をした結果、相続人が誰もいないということになった場合には、その不動産は国庫に帰属することが法律で定められています。

以前は、この法律があるにも関わらず、現金化できないような不動産について、国庫への帰属を拒否される、といったケースがありました。

ところが、平成29年に「国庫帰属不動産に関する事務取扱について」という文書が発出されました。

これによれば、相続人不存在となった場合の不動産について、国は「引継ぎを拒否することができない」旨が明記されました。

この文書により、不動産を放棄する道筋が示されたことになります。

ただ、相続放棄をする場合に注意しなければならないのが、一部の財産を選択して放棄することはできない、という点です。

相続放棄をした場合には、すべての相続財産を放棄する、ことになります。

放棄したい不動産以外に、自宅や預貯金などの資産がある場合には、放棄について慎重に検討する必要が出てきます。

また、相続放棄を進めた場合には、国庫へ帰属させるためには裁判所へ「相続財産管理人」の選任を申し立てる必要があります。

この手続きには、「予納金」として数十万円を裁判所へ納めることになります。

これらの手続きの手間や費用が依然、不動産を放棄するネックとして残ってしまっています。

弊社では、資産となるお住まい探しを掲げ、みなさまの不動産購入をお手伝いしております。

将来にわたって資産価値が目減りしないことがベストですが、少なくとも「売れる」「貸せる」といった視点での不動産選びをしていただければと思います。

国の政策にアンテナ張っていますか?前のページ

玄関・窓をIoT化次のページ

ピックアップ記事

  1. 住宅購入と 生涯の資金計画
  2. 土地価格の相場を知る方法
  3. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  4. 住宅購入は不安でいっぱい
  5. 危険な場所は 地形図で見分ける

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    相続人がいなくても不動産は売れる!(困難事例編)

    前回、遺言で「遺言執行者」を選任しておけば相続人がいなくても不動産売却…

  2. 不動産取引ガイド

    住宅購入に失敗しやすい人の共通点

    住宅を購入すると決めたら、いい物件を購入したいものですが、不動産購入と…

  3. 不動産取引ガイド

    不動産の価値はとにかく立地

    不動産は「不動」だけに一度買ってしまうとなかなか動けなくなります。…

  4. 不動産取引ガイド

    住宅を圧倒的に安く建築できる未来?

    今回は日本での実用化はかなり先の話になりそうですが、建築分野で革命を起…

  5. 不動産取引ガイド

    長生きにより住宅の概念が変わる?!

    ■令和3年簡易生命表から平均寿命を確認してみる!突然ではありますが…

  6. 不動産取引ガイド

    知っておくと楽?!不動産購入時に必要な書類について

    住宅購入を決めた場合、申し込みから売買契約、ローンを借りる際などの手続…

  1. 不動産取引ガイド

    こだわり実現の家
  2. 契約関係

    不動産トラブルと「事故物件」
  3. 欠陥・トラブル

    相続人がいなくても不動産は売れる!
  4. 不動産取引ガイド

    シックハウス症候群⁈
  5. 不動産取引ガイド

    日本の将来に影響を及ぼす老朽化するインフラ 不動産購入前に把握をしておいて欲しい…
PAGE TOP