不動産取引ガイド

担保評価が下がるマンションや建物

建物に対する銀行の評価も厳しい金融機関があります。

例えば、昔でいう長屋形式のようなテラスハウスの1区画といった物件も、あまり流通性がない(売りにくい)と評価されてしまって、ローンが下りないこともあります。

床面積の小さいというのも問題になります。昔は40平米以上なければダメというのが常識でした。銀行によっては現在でも「40平米以上」と言ってくる銀行もあります。(住宅金融支援機構の「フラット35」は、30平米から融資対象です。)というのも銀行は「ワンルームマンション・コンパクトマンションを住宅ローンで購入して、結局は賃貸で人に貸すのではないか」ということを気にするからです。

住宅ローンというのは、あくまでも自己居住用に住宅に対する融資で、もともと金利が大きく優遇されています。人に貸すつもりで購入するなら、それは不動産事業(投資)になるわけですから、そもそも住宅ローンではなく、アパートローンの金利(通常3~4%)になりますよ、というわけです。

最近の銀行のトレンドとして感じるのは、単身者に対してローンがかなり厳しくなりました。「建物」でいえば、違法建築の物件には、ほとんど金融機関は融資がつかないといった実態です。1990年代の中古戸建は、建蔽率や容積率がオーバーしていることは少なくありません。これは違法建築なので、中古物件を購入する場合にはこの点にも注意が必要です。

これも10年ちょっと前であれば、「容積率オーバーでも10%程度ならOKですよ」という銀行もありましたが、最近は1%以内のオーバーでも「融資できません」とはっきり断られます。

小さなマンションの中古1区画を購入する場合には、登記上の区分として「居宅」になっていることも確認しておかなければなりません。例えば「事務所」になっていると、住宅ローンの対象になりません。

逆に築年数の古いマンションに対しては、かつては厳しい評価がされていましたが、最近は流通性があり、資産性が低くなければ融資してくれる金融機関もあります。築40年、50年というマンションを買うときには住宅ローンも組めないというのでは、ますます古いマンションは流通しにくくなるため、建て替えも難しいという状況ですから、マンションの築年数については住宅ローンの審査の際に考慮しない銀行もわずかですがあります。

その代わり、管理の状況や長期修繕計画等の管理の状況がチェックされることが増えました。また旧耐震基準のマンションで緊急輸送道路沿いに存するものは、耐震診断がなされている場合は耐震補強工事が実施されていなければ融資対象外という銀行も多いので注意が必要です。

40平米未満、旧耐震の建物、違法建築物件 このような物件を検討する場合は、取り扱わない金融機関も多く、住宅ローンの利用が出来ないケースがありますのでご注意ください。

分からなければ日頃不動産の取引をしている担当のエージェントにお尋ねください。

以上、エージェント中田でした。

区画整理事業で生み出される「保留地」とは前のページ

物件提案ロボをより便利にご利用いただく方法次のページ

ピックアップ記事

  1. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  2. 住宅購入と 生涯の資金計画
  3. 土地価格の相場を知る方法
  4. 危険な場所は 地形図で見分ける
  5. 住宅購入は不安でいっぱい

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    資産移転をスムーズに!相続時精算課税制度を使った賢い住宅購入術

    相続時精算課税制度:住宅購入の強力な味方住宅を購入する際、多くの人…

  2. お金・ローン・税金

    トイレは10年ほどで故障や不具合が出てくる?!最近のトイレ事情とは?!

    家庭のトイレは、新築の場合なら短くみても10年は十分に使用に耐えること…

  3. 不動産取引ガイド

    間取りの考え方

    一般的なマンションの多くが廊下から洗面室に入る間取りです。そしてほ…

  4. マンション

    “売主も知らない”告知事項。一般的な書式では見過ごす可能性あり..

    今回は、マンションを購入する際に確認をして頂きたい、もしくは不動産屋さ…

  5. 不動産取引ガイド

    自宅売却、購入価格との差は平均923万円?!

    昨日7月9日(木) 不動産ポータルサイト運営のアットホームより、5年以…

  6. 不動産取引ガイド

    低廉な空き家等(800万円以下)の仲介手数料が30万円の1.1倍が上限に変わりました!

    2024年7月1日、国土交通省は放置空き家の市場流通を後押しするため、…

  1. 不動産取引ガイド

    敷地境界にブロック塀がある場合の注意点(その①)
  2. かし保険

    物件引渡し前に外壁塗装を行い、既存住宅売買瑕疵保険付保。住宅ローン減税等が利用可…
  3. お金・ローン・税金

    不動産の所有権放棄はできない?!
  4. 不動産取引ガイド

    2019 年7月度の不動産相場
  5. 不動産取引ガイド

    2024年の住宅ローン減税の適用には、省エネ基準が重要となる!
PAGE TOP