不動産取引ガイド

不動産を取得した際に課税される?!不動産取得税について

不動産取得税は、土地や建物などの不動産を取得した際に課される地方税です。
この税金は都道府県が課税主体となり、不動産の取得という事実に対して一度だけ課される取得税の性質を持ちます。
不動産を取得した日から一定期間内に納税義務が発生し、取得者が納税義務者となります。

■不動産取得税の課税対象となる取得

不動産取得税が課される「取得」には、以下のようなケースが含まれます。
1.有償取得についてです。
売買による取得が最も一般的で、競売による取得、交換による取得、代物弁済による取得なども含まれます。
無償取得では、贈与による取得、遺贈による取得が対象となります。ただし、相続による取得は非課税とされています。

2.その他の取得形態として、増改築による床面積の増加、共有物の分割による取得、法人の現物出資による取得、時効取得なども課税対象となります。
建物については、新築、増築、改築により床面積が増加した場合に取得とみなされます。

■不動産取得税の税率について

不動産取得税の標準税率は『4%』ですが、現在は軽減措置により以下の税率が適用されています。
この軽減税率は地方税法の特例措置として設けられており、定期的に延長が検討されています。

土地および住宅用建物については、令和6年3月31日まで『3%』の税率が適用されます。
住宅以外の建物(店舗、事務所、工場など)については、標準税率の『4%』が適用されます。

■不動産取得税の課税標準について

不動産取得税の課税標準は、原則として取得時の固定資産税評価額が用いられます。
この評価額は、市町村が3年ごとに見直しを行う固定資産課税台帳に登録された価格です。
土地については、2026年度まで延長され、固定資産税評価額の2分の1が課税標準となる特例措置が適用されています。
建物については、固定資産税評価額がそのまま課税標準となります。

新築建物で固定資産税評価額が定まっていない場合は、都道府県が定める建築費評点基準により評価額を算定します。

■不動産取得税の軽減措置・特例

不動産取得税には、住宅取得を促進するための様々な軽減措置が設けられています。
新築住宅の軽減では、床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅について、固定資産税評価額から1,200万円を控除します(長期優良住宅等は1,300万円)。中古住宅の軽減では、床面積が50㎡以上240㎡以下で、昭和57年1月1日以後に新築された住宅または新耐震基準に適合する住宅について、新築年月日に応じた控除額が適用されます。住宅用土地の軽減では、住宅用土地について以下のいずれか多い額を税額から控除します。45,000円、または土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2×住宅の床面積の2倍(上限200㎡)×3%です。

■不動産取得税の非課税・免税措置

一定の場合には不動産取得税が非課税または免税となります。
非課税となるケースには、相続による取得、法人の合併・分割による取得、宗教法人等が専らその用に供する不動産の取得、学校法人等が直接教育の用に供する不動産の取得などがあります。
免税となるケースには、課税標準が土地10万円未満、家屋(新築・増改築)23万円未満、家屋(売買等)12万円未満の場合があります。

■不動産取得税の申告と納税

不動産を取得した場合、原則として取得の日から60日以内に都道府県税事務所に申告する必要があります。
ただし、登記を行う場合は申告が省略できる場合が多いです。
納税方法は、都道府県から送付される納税通知書により指定された期限までに納付します。
通常、取得から3ヶ月から6ヶ月程度で納税通知書が送付されます。
納付方法は、金融機関での窓口納付、口座振替、コンビニエンスストア納付、電子納税などが利用できます。

■不動産取得税の注意点とまとめ

不動産取得税は、取得時期、用途、面積などにより適用される軽減措置が異なるため、事前に確認することが重要です。
また、軽減措置の多くは申請が必要なため、期限内に適切な手続きを行う必要があります。

住宅取得時には大きな軽減が受けられる場合が多いですが、要件を満たさない場合は満額の税額が課されるため、計画的な対応が求められます。
不明な点がある場合は、管轄の都道府県税事務所に相談することをお勧めします。

今後の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

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