不動産取引ガイド

65歳になったら知っておきたい3つの価格

新型コロナも落ち着き、帰省をお考えの方も多いと思います。
いよいよ団塊の世代が後期高齢者となる時期に差し掛かり、実家の後始末問題が顕在化しようとしています。
今回は65歳になった知っておきたい3つの価格についてご説明いたします。
※本記事はご両親が健在で、ご両親が戸建ての持ち家に住んでいることを想定しています。

□介護にいくらかかるのか

後期高齢期の住環境の選択肢は「住み続ける」か「移住する」のいずれかです。
多くの方は現状維持である「住み続ける」を選択するのですが、高齢に伴い介護の必要が出てくると破綻してしまう恐れが出てきます。
子供世代が同居しておらず、また、介護が必要になったとしても同居が難しい場合、急いで高齢者向け施設などへの移住を考えなければならなくなるのです。

「住み続ける」か「移住する」かと記載しましたが、実際には「積極的に移住する」か「必要に迫られて移住する」かの選択でしかないのです。

特に高齢になって移住するなんて費用的に難しいと考えている方ほど介護の必要に迫られた時にこれまでの生活が破綻するくらいのダメージを負ってしまいます。

65歳になった知っておきたい3つの価格の1つ目は「介護費用」です。

両親が元気なうちに介護の話を持ち出すのは気乗りしないかもしれませんが、ご両親の意向を踏まえた介護を実現するためには、ご両親が正常に判断できるうちに希望を確認しておく必要があります。
特に実家から離れて暮らしている方は、帰省のタイミングでじっくり話をしておく必要があります。

□住み続けるのにもコストがかかる

65歳になった知っておきたい3つの価格の2つ目は「実家の維持管理コスト」です。

日本人の平均余命は男性が81.64歳、女性が87.74歳(※厚生労働省『令和2年簡易生命表』より)と、65歳から20年以上実家を維持する必要があることがわかります。

雨漏れなどの対策となる屋根・外壁の塗り替え工事は10年~15年間隔で行った方が良いとされます。
10年以上経過すると、キッチンの水栓や給湯器、温水洗浄便座なども故障リスクが高まります。

つまり、今は大丈夫でもそのうち大掛かりなリフォームが必要になるのです。
現在時点で建築士によるインスペクションを実施して、「現状で不具合のある箇所」「耐用年数から交換が必要とされる箇所」「交換が不要な箇所」を区分して、それぞれに必要となる改修費用を算定しておくことをお勧めします。

家は住宅ローンが終わったらおしまい、ではなく、維持管理にまとまった費用がかかることを忘れないようにしましょう。

□資金化できる手段を確保しておく

65歳になった知っておきたい3つの価格の3つ目は「実家はいくらで売れるのか」です。

「介護費用」も「実家の維持管理コスト」も出費ですが、それを補う手段として実家を売る、もしくは貸す、という手段があります。
いざとなったら売ったり貸したりする選択肢を検討しておかないために、例えば多額の「介護費用」が必要になったとしても兄弟・親戚で無理やり費用を工面しているにも関わらず、実家は空き家になっているというような状況が発生してしまいます。
※高齢者施設に入居したから空き家になる家は本当に多いです。

まとまった費用が必要になった時に、実家を売ったり貸したり「資金化」できれば、選択肢を増やすことができます。

ただ、「実家はいくらで売れるのか」を知るためだけに不動産会社に問い合わせはしにくいと思います。
そこで、公示地価などの地価データを探して、ご実家の土地面積を掛けるという方法でおおよその金額を想定することができます。(建物費用を考慮せず土地値だけで判断するのがポイントです)
※ご実家周辺の売り出し情報を見るのもお勧めです。
ご両親がマンションにお住まいの場合はオーナーコネクトもしくはスピードAI査定のご利用がお勧めです。

<オーナーコネクトはこちら>
https://self-in.com/rchukai2/owner

<スピードAI査定はこちら>
https://self-in.com/rchukai2/ai

□一緒に考えるのが重要なポイントです

ご両親の資産や介護の話は、ご両親が元気なうちは話がしにくいものです。
しかし、ご両親の介護の問題はご両親ではなく子供世代が解決するべき課題となります。
万が一の時に判断に必要となる情報は、ご両親が健在なうちに共有してもらうよう、じっくり話し合いをすることをお勧めします。

相続が発生して慌てて駅前の不動産会社に売りに行くのが最悪の状況です。
そうならないために準備を怠らないようにしたいものです。

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