不動産取引ガイド

プロが教える土地と住宅のチェックポイント

家の購入や買い替えを考え始めた皆さんにとって、「資産価値が下がらない住宅を選びたい」というのは非常に重要なポイントです。購入の際、住宅ローンの審査には「担保評価」が大きく関わってきますが、担保評価が低い物件を選ぶと、ローンの審査で予定していた額が借りられなかったり、想定していた金利が上がったりするなど、予期せぬトラブルに見舞われることがあります。資産価値を守りつつ安心して住める住宅を選ぶために、事前の情報収集と計画が重要です。

ここでは、資産価値を守るために知っておきたい基本的なポイントと、担保評価に影響を与えやすい物件の特徴について詳しく解説します。

担保評価が低くなる物件とは?

まず、担保評価が下がる原因を理解することが大切です。銀行が担保物件を評価する際、「土地の使い勝手」や「再建築の可否」など、建物以外の条件にも厳しい目を向けます。以下のような物件は担保評価が低くなる可能性があるため、購入時には注意が必要です。

1.接道義務が満たされていない物件
日本の建築基準法では、土地が幅2メートル以上の道路に接していなければ建築が許可されません。これを「接道義務」といい、この要件をクリアできない物件は、銀行が担保評価を低くするだけでなく、場合によってはローンの対象外になることもあります。また、接道義務を満たしていない物件では将来的な建て替えが難しく、資産価値も低下しやすくなります。

2.43条2項2号(但し書き)道路に接している物件
43条2項2号(旧・但し書き)道路とは、建築基準法上の道路に該当しないが、特例で建築が認められる場合がある道を指します。43条2項2号道路に接する土地は、建築審査会の許可を得れば建物を建てられるものの、恒久的に建築が許可されるわけではなく、建て替えのたびに再度許可を申請しなければなりません。このため、将来的な資産価値に影響を与え、銀行が担保評価を低く設定するケースもあります。さらに、審査基準は地域ごとに異なり、許可されるかどうかも実際に申請してみなければわかりません。

3.再建築不可の物件
再建築不可の物件とは、建物を壊しても再び建物を建てることが法律上許可されていない物件のことです。このような物件は将来の資産価値が低くなりやすく、銀行からの評価も低くなります。住宅購入の際は、将来の建て替え可能性を考慮して、再建築が可能かどうかを確認することが重要です。

4.地盤が弱いエリアの物件
地盤が弱い地域では、地震や浸水などのリスクが高く、担保評価が下がる可能性が高まります。例えば、埋め立て地や地盤沈下の危険がある地域などは評価が厳しくなりやすいため、注意が必要です。

資産価値を守るためのポイント

資産価値の下がりにくい物件を選ぶためには、以下の点を考慮することが大切です。特に、立地条件や地盤、建物の状態など、銀行が評価する際に重要視されるポイントに注目することで、長期的に資産価値を保つことが期待できます。

1.立地条件を重視する
銀行が評価するのは、土地や建物そのものの状態だけでなく、周辺環境や将来性も含まれます。例えば、駅に近く利便性が高い地域や、人気の学校区に位置する物件は、長期的に見ても資産価値が安定しやすいです。また、周囲に新しい開発が進んでいるエリアや、再開発計画がある地域も価値が上がりやすい傾向があります。購入前にそのエリアの将来性をリサーチすることが、資産価値の維持につながります。

2.地盤や災害リスクを確認する
自然災害が多い日本では、地盤の強さや災害リスクも担保評価に影響を及ぼします。ハザードマップを活用して、地盤が強固で浸水や地震リスクが低いエリアを選ぶことで、資産価値を守ることができます。地盤が強い地域は建物の耐久性にも好影響を与えるため、長期的な住まいの安全性や安心感にもつながります。

3.将来の再建築性もチェックする
物件を購入する際には「再建築可能かどうか」を確認しましょう。万が一、建物が老朽化して建て替えが必要になった際、再建築が難しい場合は資産価値の低下を招く可能性があります。再建築の可能性が担保されている物件であれば、資産価値が安定しやすく、将来的な売却時にも有利に働くことが多いです。

4.防犯性と住環境の整備
安全で静かな住宅地は、資産価値の維持に有利です。近隣の治安や、周囲の騒音、交通量も住宅購入の重要な判断材料となります。物件の見学時には、昼と夜それぞれの雰囲気を確認することで、実際に住む環境をイメージしやすくなります。また、地域の防犯設備や監視カメラの設置状況もチェックポイントとなります。

プロのサポートを活用する

住宅購入は人生の中でも大きな決断であり、資産価値の維持も含め、リスクを伴います。こうした複雑なプロセスをスムーズに進め、資産価値を守るためには、不動産のエージェントサービスのサポートを受けるのが賢明です。エージェントは、地元の市場に関する専門的な知識を持ち、担保評価に関するアドバイスや、銀行の審査に必要な情報の提供を行います。

たとえば、エージェントが提供できる主なサポート内容には以下のようなものがあります:

リスクの高い物件の排除
経験豊富なエージェントは、地盤や接道義務に関する注意点を熟知しており、リスクの高い物件を避けるためのアドバイスを行います。
担保評価に基づいた提案
購入予定の物件について、担保評価が低くならないよう、事前に銀行の審査基準に沿った提案をしてくれるため、スムーズな購入手続きが期待できます。
安心できる取引のサポート
不動産取引の法的な知識や契約の内容に関するアドバイスも提供されるため、安心して購入を進められます。

まとめ

資産価値の下がらない住宅購入を目指す皆さんの不安を取り除き、理想の物件選びをサポートするために、エージェントのサービスは非常に役立ちます。43条2項2号道路に関する知識や、地盤のリスクなども考慮しながら、不動産の専門家のアドバイスを活用することで、将来のリスクを減らし、安心して新しい生活をスタートできます。

賃借権と地上権の違いとは?前のページ

気になるエリアの「水災等地」を調べてみませんか?次のページ

ピックアップ記事

  1. 住宅購入と 生涯の資金計画
  2. 危険な場所は 地形図で見分ける
  3. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  4. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  5. 立地適正化計画をご存知ですか?

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    サイディング外壁の注意点

    前回、外壁材の種類についてを投稿しましたが多く使われているサイディ…

  2. 不動産取引ガイド

    意外に知らない「住民票」の秘密

    別に秘密でも何でもありませんが、住民票の小ネタです。居住地の市…

  3. 不動産取引ガイド

    お住まい探しでエリアは何を基準に決めていますか?

    お住まい探しをすすめるうえで物件の条件を決めていくことになるかと思いま…

  4. 不動産取引ガイド

    宅建業法改正法案が閣議決定 インスペクションの普及前進?!

    政府はこのほど、宅地建物取引業法の一部改正法案を閣議決定しました。…

  5. 不動産取引ガイド

    売る時に価格が下がりやすい物件とは?(自主管理のマンション編)

    マンションは各住戸の所有者(区分所有者)で管理組合を設立する事が義務付…

  6. 不動産取引ガイド

    現在販売中の実存する物件で検証!“値上がり相場”での価格の妥当性。

    現在販売中の実存する物件で検証!“値上がり相場”での価格の妥当…

  1. 不動産取引ガイド

    新宿の50年前は・・・
  2. 天災・事故等

    レオパレスの物件不良問題から考える建築確認
  3. 不動産取引ガイド

    確定申告をされている方必見!!
  4. 不動産取引ガイド

    不動産の4つの価格 その2 「固定資産税評価額」
  5. 不動産取引ガイド

    自分の目でも確かめる意識が大切!
PAGE TOP