不動産取引ガイド

今後の住宅ローンは⁉

2025年1月24日に、日本の政策金利(無担保コールレート)を0.50%程度に誘導することが決まりました。
つまり、政策金利が0.25%追加利上げされるということです。
この決定が住宅ローンの金利に影響を及ぼすのかを調べてみました。

■変動金利とは

住宅ローンの基本的な金利タイプで、年2回(4/1と10/1)見直しされることから変動金利と呼ばれています。

金利の急変動で利用者が困らないよう、返済額を5年間据え置く「5年ルール」や月々の返済が25%以上増えないようにする「125%ルール」を設定している金融機関も多く存在します。
固定金利に変更するオプションが付帯しており、金利上昇時には固定金利に切り替えることも可能です。

・変動金利のメリット・デメリット

メリット:銀行間の低金利競争が激しく金利水準が低いため、月々の返済額を抑えることができます。

デメリット:将来金利が上がり、月々の返済額が増えるリスクがあります。対策として、金利が低いうちにしっかり貯蓄をして万が一の金利上昇に備えると良いでしょう。

・5年ルール・125%ルールとは?

5年ルールとは

変動金利が上がっても月々の返済額を5年間一定とするルールです。
5年ルール有りの場合、最初の5年間は変わらず、6年目から返済額が増えることになります。
5年ルール無しの場合、翌月や翌々月から返済額が増えます。

金利が上がっても返済はすぐには増えず、5年間は変わらないというメリットがある一方、6年目になるまでは本来より低額での返済となり、完済時に未払利息が発生する可能性がある点がデメリットとなります。

125%ルールとは

5年ルールを適用している金融機関で返済額が増える際、今までの返済額の1.25倍を上限とするルールです。
例えば従来の月々の返済が10万円の場合、返済がどれだけ増えても12.5万円が上限となります。

返済額が増えても上限値があるのがメリットとなる一方、5年ルール同様に本来よりも安く返済が進むため、予定通りに残高が減らず完済時に高額返済が必要となる可能性がある点がデメリットです。

■固定金利とは

金利が変わらないのが固定金利です。
フラット35のような全期間固定金利のほか、5年、10年など一定期間の金利を固定する固定期間選択型もあります。

・固定金利のメリット・デメリット

メリット:一定期間または全期間の返済額が変わらないため、長期の返済計画や生活設計を立てやすいことが特徴です。

デメリット:金利水準が高く、返済額が多くなります。また固定期間選択型の場合、6年目や11年目など固定期間が終了するタイミングで、当初固定期間よりも高い金利に切り替わることが多いこともデメリットです。

■住宅ローン返済中の人への影響

・変動金利の方

変動金利で住宅ローンを返済をしている人は、基準金利が上がれば、その上がった分だけ適用金利も上昇します。
例えば2025年1月時点の適用金利が0.55%のとき、基準金利が0.25%上がれば、適用金利は0.8%になります。
※適用金利とは、「基準金利から引き下げ幅を差し引いた、実際に返済額の計算に使われる金利」のことです。

金利が上がる時期はいつなのでしょうか。
変動金利は、金利が毎月変わるわけではありません。
半年に1回、金利が見直されるケースがほとんどです。
多くの金融機関では毎年4月1日と10月1日に適用金利が見直されて、その2~3ヶ月後から実際の適用金利に反映されます。
2025年1月に追加利上げが決まったので、実際に金利が上がるのは2025年7月返済分からという人が多いと思われます。

なお、「5年ルール」の適用を受けている場合は適用金利引き上げ後も毎月の返済額は変わらず、月々の返済額に占める金利と元本の内訳が変化します。
つまり、月々の返済額は変わりませんが、金利負担が増えて元本返済が減ることになるでしょう。

適用金利がかなり高くなってきたという方は、借り換えの検討をおすすめします。
※金利が上がる時期や利率は、金融機関・個々の契約内容によって違います。正式な内容については、金融機関からの通知等をご確認ください。

・固定金利の方

いま固定金利で住宅ローンを借りている場合、特に適用金利の変化は起こりませんので、今まで通りの返済が続きます。
今まで比較的高い金利を払い続けながら金利上昇リスクをヘッジしてきたことのメリットを享受できることになります。

注意点としては、「当初◯年固定」などの固定特約型を使っている人は将来的に金利が上がる可能性が高いことが挙げられます。
固定特約型ではその固定期間が終了した後に再度固定金利を使うか変動金利に切り替えるかを選択することになりますが、どちらを選ぶ場合でも当初よりも高い金利が設定されるケースが大多数です。
もし近いうちに当初◯年固定金利が終了する予定の方は、借り換えも検討も必要になるかもしれません。

■これから住宅ローンを借りる人への影響

・変動金利を検討の方

2025年1月23〜24日の日銀会合で決定した追加利上げにより、多くの銀行が4月の新規貸出金利を0.25%程度引き上げると思われます。

ただし、戦略的に基準金利の引き上げ幅(0.25%)ほど、新規貸し出し向けの変動金利を引き上げない銀行も出てくるかもしれません。
これは、住宅ローンは銀行にとって個人客との長期的・安定的な取引を行うための重要な商品であり、銀行間の新規獲得競争が激しいためです。
むしろ他の銀行が金利を上げることが予想される中、自らの金利の上昇幅は抑えることを検討している銀行もあるかもしれません。
銀行としては既存ユーザーの金利を上げることで収益を確保し、新規ユーザーを低金利で獲得するためのマーケティング原資に充てる可能性があります。

・固定金利を検討の方

これから住宅ローンを組んだり借り換えたりする人が固定金利を使う場合、今回の日銀会合による金利への影響はないものと考えられます。
固定金利について気をつけなければいけないのは、「固定金利は日本固有の事情だけでなく、海外の金融情勢の影響を受けやすい」ということです。
住宅ローン固定金利は長期金利との連動性が高いですが、長期金利は金利市場によって日々変動しています。

今後断続的な日銀の利上げが予想される場合、それに先行して長期金利が上がることが考えられます。
この場合、固定金利はどんどん上がっていきますので、もし固定金利を借りられる場合はお早めにお申し込みすることをおすすめします。

物件契約から融資実行までの期間が長い場合には、契約時点の参考金利から大幅に変わる可能性もあるということを念頭に置き住宅ローンを借りる際には、複数の金融機関を比較検討することが重要だと思います。
また、金利だけでなく、団信や手数料などの諸条件もしっかり見るようにしてください。

長期の借入金ですので、どちらの金利を選択するにも必ず返済についてのシミュレーションを何パターンかを作り、その中に繰上げ返済の計画も考えておくと良いかもしれません。
いかがでしょうか、今後の住宅購入の参考になれば幸いです。
リニュアル仲介、渡辺でした。

2025年3月 フラット35金利のご案内前のページ

マンション購入をご検討の方へ 共用部の地震保険の加入状況も把握しましょう!次のページ

ピックアップ記事

  1. 住宅購入は不安でいっぱい
  2. 立地適正化計画をご存知ですか?
  3. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  4. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  5. 土地価格の相場を知る方法

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    2019 年4月度の不動産相場

    公益財団法人東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)から、2019…

  2. 不動産取引ガイド

    不動産の舞台裏:売主が語る物件の実像

    売主が居住中の物件は、売主様に直接確認できる絶好の機会と言えます。…

  3. 不動産取引ガイド

    住宅ローンの安心材料「団信」について

    住宅ローンを組まれて、不動産購入をされる方は、もしもの時の安心となる団…

  4. マンション

    「カベシン」?「ウチノリ」?マンションの面積における2つの表現

    おはようございます。リニュアル仲介の渡辺です。マンショ…

  5. お金・ローン・税金

    大手銀行 2月の住宅ローン金利引き下げ

    1月に続いて、2月も大手銀行をはじめ金融機関が住宅ローン金利を引き下げ…

  6. 不動産取引ガイド

    平成30年度の路線価図等が公開されました!

    昨日、平成平成30年度の路線価図等が公開されました。今朝の新聞紙面には…

  1. 不動産取引ガイド

    ご自身のお持ちの家財。再調達価格はいくらかご存知ですか?
  2. 不動産取引ガイド

    不動産の「マイナンバー」
  3. マンション

    多様化するマンション 管理で資産価値を向上する?!
  4. 不動産取引ガイド

    人気の電車ランキングに変化が!
  5. 不動産取引ガイド

    法的リスク?何に注意すべきか
PAGE TOP