不動産取引ガイド

現代の相続で直面する新たな課題?!「デジタル資産」!

現代の相続において、預金通帳や不動産登記簿と同じくらい重要、かつ厄介なのが「デジタル遺産」です。
故人がネット銀行や証券会社を利用していた場合、郵送物が届かないため、家族がその存在に気づけないケースが増えています。
スマホのロックが解除できないと、サブスクリプションの課金が延々と続き、負債に繋がる恐れもあります。
早めにスマホの契約状況を確認し、パソコンのブラウザの「お気に入り」やメール履歴から金融機関とのやり取りがないか精査する必要があります。
これらは「遺産の洗い出し」の項目に不可欠なステップです。

■ 「実家の空き家問題」と家財整理

不動産相続とセットで考えなければならないのが、家の中に残された膨大な「遺品」です。
特に遠方に住む子が実家を相続する場合、片付けの負担は精神的・肉体的に重くのしかかります。
「いつか使うかも」と放置しておくと、建物の老朽化が進むだけでなく、特定空き家に指定され固定資産税が跳ね上がるリスクもあります。
相続の話し合いと並行して、遺品整理業者への見積もりや、自治体のゴミ出しルールの確認など、物理的な「家の始末」についても、兄弟姉妹で費用負担を明確にしておきましょう。

■相続登記の義務化への備え

2024年4月から施行された「相続登記の義務化」は、今後の不動産相続において避けては通れないトピックです。
相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請をしなければならず、正当な理由なく怠れば過料の対象となります。
「名義変更は面倒だから後回しでいい」という考えは、今の時代、通用しなくなっています。

■専門家ネットワークの活用

相続は、内容によって相談先が異なります。
登記や書類作成なら司法書士に相談をします。
また、親族間の紛争なら弁護士に相談となります。
また、税申告なら税理士に相談を進め、きちんとした対応が可能となります。
また、不動産の売却や査定なら不動産会社に相談が必要となります。
これらを個別に探すのは骨が折れるため、最近ではワンストップで相談に乗ってくれる窓口も増えています。
「何から手をつければいいかわからない」という不安自体を、早めに専門家へ投げる勇気も必要です。
また、親が亡くなると、預金や年金の手続きと並行して、家や土地といった「不動産」の扱いが最大の焦点となります。
特に不動産は分割が難しく、価値の評価も複雑なため、トラブルの火種になりやすい資産です。
不動産相続をスムーズに進めるためのタイムラインを確認しておきましょう。

■ 初動:権利関係の確認と「名義変更」の準備

葬儀後の慌ただしい時期ですが、まずは実家などの不動産が誰の名義になっているかを登記事項証明書で確認します。
父親名義だと思っていたら、実は祖父の名義のままだったというケースも珍しくありません。
また、不動産を分けるためには「誰が相続人か」を確定させる必要があります。
故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を揃える作業は、不動産の名義変更(相続登記)に必須です。

■ 資産価値の把握と「分ける方法」の検討

不動産をどう引き継ぐかは、主に3つの方法があります。
「現物分割」、「換価分割」、「代償分割」です。現物分割は 母親が自宅をそのまま引き継ぐといったものです。
また、換価分割は家を売却して、得た現金を子や母で分ける方法です。
代償分割は特定の相続人が家を継ぎ、他の相続人に現金(代償金)を払うといったものです。
この判断には、その不動産がいくらで売れるのか、あるいは固定資産税評価額がいくらなのかという「見える化」が欠かせません。

■ 口座凍結への対応と維持費の確保

金融機関が死亡を把握すると口座が凍結されます。
電気、ガス、水道などの公共料金が実家の口座から引き落とされていた場合、支払いが滞り供給が止まる恐れがあります。
不動産の管理を維持するためにも、早急に支払い名義の変更や、遺産分割前でも一定額が引き出せる「預貯金の払戻し制度」の活用を検討しましょう。

■遺産分割協議と登記申請

四十九日を過ぎ、親族が集まるタイミングで「遺産分割協議」を行います。
不動産を誰が継ぐか決まったら「遺産分割協議書」を作成します。
これは不動産の名義変更(相続登記)に絶対必要な書類です。
前述の通り、現在は相続登記が義務化されています。
放置すると将来の売却や活用が困難になるため、司法書士などの専門家と連携して速やかに登記を完了させることが肝要です。

■税務申告と特例の活用

不動産の価値が高く、基礎控除を超える場合は相続税がかかります。
ここで重要なのが「小規模宅地等の特例」です。
亡くなった人と同居していた親族が自宅を相続する場合、土地の評価額が最大80%減額されます。
この特例を適用するには、期限内(10カ月以内)の申告が必要です。
親族間で争い、分割が決まらないとこの特例が受けられず、多額の税負担が生じるリスクがあります。
いずれにせよ、不動産は家族の思い出が詰まった場所であると同時に、最も管理と処分に労力を要する資産です。
「争族」を避け、大切な資産を負の遺産にしないためには、情報の共有と早めの専門家への相談が、円満な相続への一番の近道といえます。
ぜひ、今後の参考にお役立てください。

法人営業部 犬木 裕

 

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