不動産取引ガイド

旭化成建材、ジャパンパイルの杭問題では「曳家」の出番はない?!

昨日、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組で「曳家」のプロが出ていました。今回はそれに絡めて書きたいと思います。

http://www.nhk.or.jp/professional/2015/1116/index.html

 

そもそも「曳家」とは道路拡張など、やむにやまれぬ事情で建物の場所を移さなければならないとき、用いられる土木工法です。古来から受け継がれる技術で、550年ほど前の書物には、すでに建物を曳家したという記述が登場するようです。

 

曳家が必要なシーンとは今回の旭化成建材、ジャパンパイルの杭問題など、建物が傾斜した際にそれを改善する際に用いられます。残念ながら今回の杭問題では建物規模があまりにも大きいため、曳家が活躍する場はありません。

 

その多くは地盤改良等からやり直さなければならない場合が多いため、一旦建物を持ち上げ、建物ごと移動させてから改善が図られます。曳家では、建物を横方向に移動させる、いわゆる曳(ひ)きの工程よりも、建物を持ち上げる工程の方がはるかに難しいようです。建物は年月を経るうちにその重みで柱が沈み込み、全体がゆがんでいることが多いため、ゆがみを直して水平に戻しながら持ち上げなければなりません。しかし、建物を持ち上げていく際、少しでも圧力のバランスをかけ間違えると、建物が壊れてしまうようなので、かなり慎重な作業が求められます。

 

古民家を活用するような際には曳きをおこなうというよりも、添付写真のように一旦、建物を上げ、基礎を打ち直し、土台等の腐食を改善してから耐震補強等を行うという場合がございます。ぜひ、マニアックネタとしてご覧ください。

 

法人営業部 犬木 裕

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