不動産取引ガイド

不動産の持分はどこへ?

相続にまつわる、気を付けたい事例のご紹介です。

Aさんは、お父様とお父様の再婚相手である継母の3人で仲良くお暮しでした。

ところが残念なことに高齢となった継母が体調を壊し、お亡くなりになってしまいました。

慌ただしく葬儀や法要を終え、いざ銀行や不動産の手続きをしようとしたところ、思いがけないトラブルが発生しました。

実はAさんは、継母と養子縁組をしていなかったのです。

長いことひとつ屋根の下で3人で暮らしてきたため、何の疑問も抱かずにいたのですが、養子縁組をしていなかったため、法律的にはAさんと継母は「赤の他人」という扱いになってしまっていたのです。

その結果、継母の遺産のうち4分の3についてはAさんのお父様が、残りの4分の1にあたる部分については、継母の兄弟(今回のケースではその子供)へ渡ってしまうことになることが判明したのです。

Aさんのケースでは、自宅の名義が父2分の1、継母2分の1となっていたため、自宅の名義の8分の1が、何十年も連絡を取っていない継母の甥っ子へ渡ってしまう、という事態が発生してしまいました。

慌てて専門家に相談したAさんですが、方法としては、継母の甥っ子に放棄をしてもらうか、代償金を支払って、持分を譲ってもらうしかありません。

非常に不安なお気持ちで何十年ぶりかに継母の甥っ子と連絡を取ったAさんでしたが、幸運にもすんなりと放棄をしていただき、事なきを得ることができました。

今回のAさんのケースでは、生前に養子縁組をしておくとか、継母に遺言書を一筆したためておいてもらうなど、対策はいくらでもあったのですが、そもそもこのような問題が起こり得ることすら一般的には想像できません。

不動産が赤の他人(または遠い親戚)などと共有となってしまった場合、売却や建替えなどが非常に困難になってしまいます。

よく「養子縁組」、「再婚」、「子供がいない」場合には相続に注意と言われます。

不動産をお持ちの方で気になる方は、トラブルが起こるタネがないか、検討しておきましょう。

斜線制限をご存じですか?不自然に一方の角のない建物を見たことはありませんか?前のページ

バスがなくなる街次のページ

ピックアップ記事

  1. 住宅購入は不安でいっぱい
  2. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  3. 住宅購入と 生涯の資金計画
  4. 立地適正化計画をご存知ですか?
  5. 買ってはいけない物件を自分でチェック

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    外観だけの美しさにとらわれず、しっかりとチェック!

    築10年を迎え、リノベーションされた戸建て物件。内装や外壁は一見新築の…

  2. かし保険

    瑕疵保険⑦瑕疵保険と住宅ローン減税

    既存住宅売買瑕疵保険シリーズ7回目です。今回は瑕疵保険と住宅ロー…

  3. 不動産取引ガイド

    ラジコンやドローンを飛ばしてはいけません! ~航空法~

    今回は「航空法」による制限です。空港周辺エリアなどでは、航空機…

  4. 不動産取引ガイド

    インスペクションは意味がないのか?

    宅建業法の改正とともに制度化された既存住宅状況調査(インスペクション)…

  5. 不動産取引ガイド

    熱中症警戒アラートとは?!

    今年から、熱中症の予防を促す情報として、全国で「熱中症警戒アラート」が…

  6. 不動産取引ガイド

    不動産もソーシャル・ディスタンス

    コロナ禍において提唱される人と人とのソーシャル・ディスタンスですが、同…

  1. 不動産取引ガイド

    賃借権と地上権の違い
  2. 不動産取引ガイド

    火災保険がまたまた改定されます!
  3. 不動産取引ガイド

    いつまでたっても減らない「おとり広告」…国土交通省が規制強化!!
  4. 不動産取引ガイド

    土地の登記された面積についての表示
  5. 不動産取引ガイド

    いろいろな形の屋根
PAGE TOP