欠陥・トラブル

住まいを購入したら考える「配偶者居住権」という制度

令和2年の民法改正により創設された制度の一つが「配偶者居住権」というものです。

これは、相続が発生した場合に、配偶者は自宅にそのまま住み続けることができる、という権利です。

その内容や手続きの方法を解説します。

「争続」を回避するための配偶者居住権

「配偶者居住権」とは、前述のとおり、相続した場合にも、配偶者はそのまま自宅に住み続けることができる、という権利です。

もしご主人が相続した場合で、残された財産が自宅不動産のみだった場合を想定します。

法律では特に遺言書などがなかった場合、配偶者の相続分が2分の1、子供の相続分が2分の1と規定されています。

たいていの家では、奥様がそのまま自宅に住み続ければ良い、ということになりますが、中には親族間の関係が悪く、子供が取り分2分の1を主張する、というケースもあります。

また、ご主人が再婚している場合などで、お子様と後妻さんとの話し合い、といったケースも揉めることがあります。

財産が不動産しかない場合には、分割することができません。

こうしたケースを回避する方法が、「配偶者居住権」の設定です。

不動産自体はお子様に相続させるけれど、配偶者が生きている間はそのまま居住することができる、という設計が可能になりました。

不動産の持ち主としての「所有権」と、利用者としての「利用権」を分離させたというものです。

「配偶者居住権」の設定方法

この配偶者居住権を設定するには、「遺言書」を作成して指定するか、相続が発生した後に相続人全員での話し合い「遺産分割協議」を行う必要があります。

争続回避、という視点からは、後者の方法は選択肢になりえません。

生前にしっかりと遺言書を作成し、配偶者の方の終の棲家を確保してあげる手当が必要です。

不動産をお持ちの方は、資産の7割以上を不動産が占めてしまう、というケースが多いとされています。

不動産は分割のしにくさ、が一つのネックとなってしまいます。

不動産を購入された方は、残された方のために、ぜひ遺言書の作成もご検討ください。

道なのに道路ではない⁉前のページ

<コロナ禍の不動産購入>テレワークスペースの確保もお忘れなく?!次のページ

ピックアップ記事

  1. 土地価格の相場を知る方法
  2. 住宅購入と 生涯の資金計画
  3. 危険な場所は 地形図で見分ける
  4. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  5. 立地適正化計画をご存知ですか?

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    耐震基準がいくつもある!~建築基準法と耐震診断~

    先日耐震基準適合証明書のホームページからお問い合わせいただいた対応内容…

  2. 不動産取引ガイド

    国土交通省「防災ポータル」開設!2020年東京オリンピック開催期間中の地震発生も想定。

    国土交通省は、東京オリンピックで訪日外国人が増えることが予測されている…

  3. 不動産取引ガイド

    「羽田新ルート」に伴う騒音 都心の不動産価格にも影響?

    2月2日、羽田空港の新たなルートで、実際の旅客機を使った飛行テストが始…

  4. 不動産取引ガイド

    ハザードマップを確認していますか!?

    常総市で大雨による堤防決壊のニュースが連日のように報道されています。…

  5. マンション

    マンションの専有部分と共有部分って?

    マンションの共有部分、廊下やエレベーター、ごみ捨て場だけだと思っていま…

  6. 不動産取引ガイド

    未来の水害への備えを

    去年の台風19号(令和元年東日本台風)や昨今の熊本県球磨川の氾濫等水害…

  1. リノベーション

    譲れない条件を明確にすることで 思い通りの物件購入を実現
  2. 不動産取引ガイド

    「ニュータウンの将来やばい説」その街は生き残るのか?
  3. お金・ローン・税金

    フラット35の借り換えについては「借り換えシミュレーション」を活用しましょう!
  4. 不動産取引ガイド

    住宅ローン減税の要件と注意点
  5. お金・ローン・税金

    2022年3月 フラット35金利のご案内
PAGE TOP