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水災害に強い街づくり -都市再生特別措置法の改正-

気候変動の影響もあって水災害が頻発・激甚化しており、都市部においても浸水リスクが高まっています。浸水発生時には避難が求められますが、多くの人口を有する都市部では近隣の避難先が不足することも想定され、事前の広域避難といった対応も必要になってきます。

2019年台風19号の事例を振り返った上で、頻発・激甚化する自然災害に対して安全な街をつくる動きとして、都市再生特別措置法の改正について紹介します。

実施されなかった広域避難

2019年に発生した台風19号は、大雨による河川の氾濫、土砂災害、内水氾濫を引き起こし、東日本を中心に大きな人的・物的被害をもたらしました。その被害状況を検証した政府の資料には、「首都圏を貫流する多摩川、荒川でも浸水被害が発生し、利根川、荒川の本川も決壊寸前」であったと記されています。もし、荒川の本川が氾濫していれば、流域に位置する東京東部5区(墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区)の住民約250万人に避難の必要が生じたと考えられています。

東京東部5区は荒川だけでなく隅田川及び江戸川が流下し、多くの地域がゼロメートル地帯の臨海部に位置するため、高い水災害リスクに晒されており、最大規模の洪水氾濫が発生すると、浸水の深さは最大で約10mに達し、浸水は2週間以上(高潮は1週間以上)継続すると想定されています。東京東部5区では水災害対策として、2018年8月に広域避難の規準を作成しました。この規準では、3日前(72時間前)から台風の気圧や降雨予測などに基づき、住民に自主的な避難を呼びかけることとしています。

しかし、台風19号では、上陸日の朝になって降雨量の予測が引上げられ、移動手段となる鉄道も運休が始まっていたことなどにより、広域避難の判断が困難となりました。結果的に広域避難は実施されず、各区内では避難勧告や避難所の開設などの対応が取られました。

都市再生特別措置法の改正

台風19号でもみられたとおり、都市部における台風や豪雨発生時の広域避難は容易なことではありません。そこでその対策として、災害に対して安全な街づくりが推進されてきています。昨年度、政府は都市再生特別措置法を改正し、①災害ハザードエリアにおける開発抑制、②移転の促進、③立地適正化計画の強化という3つの防災対策を講じることになりました。

①災害ハザードエリアにおける開発抑制

今回の改正で、災害レッドゾーンにおける自己業務用施設(店舗、病院、社会福祉施設、旅館・ホテル、工場など)の開発原則禁止、浸水ハザードエリアにおける住宅などの開発抑制が行われることになりました。さらに一歩踏み込んだ対策として、災害レッドゾーン内での抑制の効かない開発に対しては、開発会社名を公表するなどの措置がとられることとなります。

【レッドゾーン】

区域:災害危険区域、土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域

対策:住宅などの建築や開発行為などの規制あり

【イエローゾーン】

区域:浸水想定区域、土砂災害警戒区域、都市洪水想定区域、都市浸水想定区域

対策:建築や開発行為などの規制はなく、区域内の警戒避難体制の整備が求められている

②移転の促進

防災集団移転事業の拡充により、災害リスクの高い地域からの住民の移転を促します。防災集団移転事業とは、災害が発生した地域などからの移転にあたり、市町村が一定の区画を造成し、移転費用の一部を国および地方公共団体が共同して補助する仕組みです。従来は10戸以上を対象としていましたが、今回これを5戸に引き下げました。集団移転は合意形成が大きな課題であったため、5戸に引き下げることで、より円滑な移転の実施が可能となりました。

③立地適正化計画の強化

市町村が作成する立地適正化計画において、居住誘導区域から災害レッドゾーンを原則除外すること、そして防災対策・安全確保策を定める「防災指針」の作成が行われることになりました。防災指針には、避難路、避難地、避難施設の整備などのハード対策と警戒避難体制の確保などのソフト対策が組み込まれ、ハードとソフトの両面から防災の取り組みが強化されます。

国交省の資料によると、2019年12月時点で立地適正化計画を提出した全国275都市のうち、88%に相当する242都市の居住誘導区域に浸水想定地域が含まれています。新たに開発を抑制するだけではなく、移転の促進や立地適正化計画の強化などを通して既存の居住地域に対する対策を実施することが重要です。

住宅購入の際にはこういった確認が必要となります。購入後に後悔することのないよう注意していただけたらと思います。

リニュアル仲介、前田でした。

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