不動産取引ガイド

「リフォームをしてから家を売った方が高く売れるって本当?」〜悩める住宅売却者へのアドバイス〜

1. リフォーム=高額売却の方程式は成り立つのか?

まずは、結論からお伝えしましょう。リフォームをしたからといって、必ずしも高く売れるわけではありません。
一時期、「売る前にリフォームした方が得」という見方が一般的でした。これは、買い手がすぐに住める状態を求めていた時代の名残りです。しかし、現在の中古住宅市場では、必ずしもその方程式が成り立つとは限らないのです。

2. 最近の傾向:買い手が求める「リノベーション」の自由

近年、中古住宅を購入してからリフォームやリノベーションを施し、自分の好みに合わせた空間を作りたいと考える人が増えてきました。特に、30代から40代の若い世代には、自分で好きなように空間をカスタマイズする楽しみを重視する傾向があります。
こうした買い手にとって、売却前にリフォームされた住宅は「すでに他人の好みが反映された家」と感じられ、場合によっては「自分でリフォームする余地がない」と、ネガティブに捉えられることもあります。
たとえば、床材や壁紙の色、キッチン設備のデザインなどは個人の好みが分かれる部分です。売却前のリフォームが売り手のセンスに合わせて行われていると、買い手にとってはむしろ「不要なコスト」が販売価格に上乗せされているように感じるかもしれません。

3. メンテナンスは「見せ方」として有効

では、まったく手を入れずに売り出した方が良いのかというと、そうとも限りません。リフォームではなく、最低限のメンテナンスを行うことは効果的です。
たとえば、外壁の塗装や、玄関のドアの補修、床のクリーニングなど、購入者が気になる部分をきれいに整えることで「大切に住まわれていた家」という印象を与えることができます。
こうした手入れは、売却価格を大きく上げることは難しいかもしれませんが、「売却スピードを早める」効果が期待できます。つまり、あまりお金をかけずに少しでも印象を良くすることで、購入希望者が増えやすくなるというメリットがあるのです。

4. リフォーム費用の「回収可能性」を考える

リフォームを行う際には、その費用を売却価格にどれだけ上乗せできるかを冷静に見極めることが大切です。たとえば、数百万円をかけてフルリフォームを行っても、その分がそのまま売却価格に反映されるとは限りません。住宅の立地や築年数、周辺の住宅相場といった要素も売却価格に大きな影響を与えるからです。
おすすめは、リフォーム費用が売却額にどう反映されるかを事前に査定してもらうこと。不動産会社に依頼し、地域の相場や需要を把握した上で、リフォームによる価値の上昇が見込めるかを相談しましょう。不動産エージェント 中田でした。

 

2025年1月 フラット35金利のご案内前のページ

金利上昇局面での「住宅ローン」の選び方!次のページ

ピックアップ記事

  1. 土地価格の相場を知る方法
  2. 立地適正化計画をご存知ですか?
  3. 住宅購入と 生涯の資金計画
  4. 住宅購入は不安でいっぱい
  5. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    いつからスタートする?!「安心R住宅」とは?!

    夏ごろのスタート予定でした「安心R住宅」の制度がなかなか始まりません。…

  2. 不動産取引ガイド

    住まいの「広さ」と「理想の家具・荷物の量」

    先日、一般社団法人ホームステージング協会は、「快適空間比率」と「快適収…

  3. 不動産取引ガイド

    「子育て大国」で「新築マンション」

    住宅購入を検討なさる方で「子育て環境が良いからこのエリア」とおっしゃる…

  4. 不動産取引ガイド

    マイホーム購入に伴う税金はどんなものがあるのか?

    不動産を購入する際には、初期の費用としていくつかの税金が発生します。こ…

  5. 不動産取引ガイド

    売主居住中の物件は、売主様に直接確認できる絶好の機会。

    エージェントの中田です。中古物件を売却しているケースでは、売り主様…

  6. お金・ローン・税金

    フラット35のリフォームにも使えるローン

    フラット35と言えば、35年固定ローンですが、リフォームにも使える「リ…

  1. 不動産取引ガイド

    不動産テックツールをフル活用しましょう!不動産業界で起こっている第四次産業革命!…
  2. 不動産取引ガイド

    駅近マンションの落とし穴:機械式駐車場の空きに注意せよ!
  3. 不動産取引ガイド

    用途地域は12種類もあります。
  4. 不動産取引ガイド

    建物の揺れを早く止める為のエネルギー吸収装置とは?
  5. 不動産取引ガイド

    海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し 3 【事前準備~売買契約締結 編 1/9】…
PAGE TOP