不動産取引ガイド

サービスルーム(S)と普通の部屋は何が違うのか?

販売図面を見ていると、部屋は広く窓もあるのになぜか「サービスルーム」と表記されている部屋を見かけることがあります。
サービスルーム(S)と普通の部屋は一体どこが違っているのでしょうか。

マンション等で見かける「サービスルーム(=Sと表記)」には本当の「納戸」もありますが、中には窓もあり「なぜ個室じゃないの?」と思う部屋もあります。また同じ間取りなのに、上階では「洋室」、下階では「サービスルーム」と呼び方が変わっているケースも見かけます。その理由は、建築基準法上で「居室扱いにできない」からです。

建築基準法では、人が長い時間過ごす部屋を「居室」と呼び、居室に採光上必要な開口部面積を定めています(建築基準法28条)。最高に必要な開口部面積を算出する際に床面積に乗じる割合は、居室の用途で異なります。

・幼稚園・学校の教室や保育所の保育室では、床面積に乗じる割合が1/5以上
・住宅・共同住宅の居室、病院や診療所の病室等では、床面積に乗じる割合が1/7以上
その他、用途によっては、床面積に乗じる割合が1/10以上という場合もあります。


上記のように住宅用の居室の採光条件は部屋の床面積の1/7以上となっていますが、窓の目の前に階段やエレベーターがあって影になるようであれば、その部分は有効面積にカウントできません。そのように居室としての基準を満たしていない部屋を「サービスルーム」と呼び、居室と分けています。

▼サービスルームのデメリット
サービスルームがある間取りは、実際にリビング・ダイニング・キッチンのほかに個室が3室あっても「2LDK+S」となり、一部屋少なく表示されます。したがって同じ間取り・部屋数の「3LDK」表示の部屋よりも、価格が低く抑えられることが多いようです。

そのように考えるとお得のようにも思えますが、サービスルームの最も大きなデメリットは、居室と同じ設備が設けられていないケースがあることです。

例えば、テレビや電話回線をひいていなかったり、空調設備を設けられなかったり等・・。
とくに専用コンセントや壁のスリーブ(穴)がないと、クーラーを付けることが難しく、居室として使用しにくい等、普通の部屋とは異なる点がある可能性がありますので注意が必要です。
サービスルームと表記されている物件を内見する際には、その辺りも現場でチェックしましょう。

「居室の採光」について、より詳しく知りたい方は、こちらもご参照下さい。
http://www.iny.jp/regulation/cnstreg4.html

以上、中田でした。

メリット大!安心・快適に住める「長期優良住宅」前のページ

今日で阪神・淡路大震災から24年経ちました。次のページ

ピックアップ記事

  1. 危険な場所は 地形図で見分ける
  2. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  3. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  4. 立地適正化計画をご存知ですか?
  5. 土地価格の相場を知る方法

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    不動産購入時に必ず目にする登記簿謄本。

    どこに注目するべきか確認しておきましょう。不動産登記は、土地や…

  2. 不動産取引ガイド

    定期借地権マンションの真実:魅力的な価格の裏に潜む資産価値の課題

    不動産市場を探索していると、時折「この立地でこの価格?」と二度見してし…

  3. 不動産取引ガイド

    建物インスペクションを2件実施、安心して住宅購入が出来ました!

    こんばんは。リニュアル仲介の犬木です。本日は建物インスペクションを2物…

  4. 不動産取引ガイド

    リフォームと建て替えどっちにしますか?

    私の家は築70年以上の古民家になります。ここで考えるのが古民家を活…

  5. 不動産取引ガイド

    まだ間に合います!!

    まだ間に合います!!住宅購入において知っておかなければ損をする情報…

  6. 不動産取引ガイド

    実測売買と公簿売買の違い

    土地の登記記録にはそれぞれの土地面積が記載されているものの、その面積と…

  1. かし保険

    築浅物件ならではの注意点≪中古住宅の保証 その④≫
  2. 不動産取引ガイド

    防災に備えて不動産購入!地震ハザードステーションHPを確認する?!
  3. 不動産取引ガイド

    これは何と読む?「畦畔」
  4. 不動産取引ガイド

    家の作りやうは、夏をむねとすべし
  5. 不動産取引ガイド

    それでも空き家は加速度的に増え続ける
PAGE TOP