不動産取引ガイド

マンション購入の際の「管理費」は適正ですか?!

■「マンションは管理を買う」と言われるぐらい管理は重要です!

マンション購入を検討されている方は、「マンションは管理を買う」というお話を聞いた事がある方も多いのではないでしょうか?一般的にマンションは、人気エリア、駅からの距離、築年数、面積、階高等でその価格相場が決まると言われていますが、もう1つ非常に重要なポイントがあります。それは、マンションの管理状態です。「マンションは管理を買え」と言われるほど、管理状態がマンションの価値を左右してしまうので、注意が必要です。

■マンション管理費が値上がりする理由について

しかし、最近、マンション管理組合が、清掃や修繕費の管理などを担う管理会社から契約更新を拒否されるケースが相次いでいるようです。人件費が高騰する中、管理費の値上げ交渉で折り合いがつかないケースが目立ち、入居者の多くが高齢となった古い物件も少なくなく、次の契約先が見つからなければ住環境が悪化する恐れもあります。その為、不動産購入の際に、不動産会社のスタッフに管理状態の確認や、入居者の世代などをお聞きする事をおススメ致します。

公益財団法人マンション管理センター( https://www.mankan.or.jp/ )には数年前から「管理費の値上げを要求された」「更新を拒まれた」といった管理組合の相談が全国から寄せられているようです。契約辞退の理由として1番多いのが「採算が取れない」といった理由のようです。それも管理会社が値上げを求める理由の一つが人手不足となります。

その理由としては定年が段階的に引き上げられ、13年施行の改正高年齢者雇用安定法で希望者全員が65歳まで働ける仕組みが整ったことで、元の職場で働き続ける人が増え、マンション管理人になる人材が減ったという事だそうです。また、新型コロナウイルスの影響により、外国人労働者が来日できなかったことも人件費高騰につながっている要因とのことです。

■首都圏のマンション管理費はこの10年で18%も上昇した!

2019年の首都圏の新築マンションの管理費は平均1万9085円となり、10年間で18%上昇しているようです。最近の値上げラッシュに、様々な場面でひっ迫している様子が伺えます。
また、契約更新を拒否されることが多いとされるのが、築年数が古く入居者が高齢化した物件のようです。収入を年金に頼る高齢者にとって管理費の値上げは受け入れがたく、交渉が前に進まない事例が目立つようです。また、タワーマンションに住む方で高層階と低層階の住人の意見の違いがあり、トラブルに発展するケースもあるようなので、不動産購入の際には、どのような方が住んでいるかを確認する事は重要です。

管理方法の見直しを進める管理組合も出てきており、最近では「住民経営マンション」というマンション住民が資産価値の維持や住み心地の改善のために意思決定を行って管理・遂行するマンションも増えています。

国土交通省によると、マンションに住む人は2020年末時点で1573万人(推計)。築40年超の物件は20年時点で103万3千戸あり、40年に3.9倍の404万6千戸となる見通しです。2022年4月には改正マンション管理適正化法が施行され、管理組合が機能していないなどの問題があるマンションの管理について自治体が助言、指導できるようになりました。

名古屋市は条例で、2022年度に管理組合に運営状況などの届け出を義務付ける方針となっており、管理組合が機能していない場合はマンション管理士を派遣するなどして助言、指導を進める予定との事です。このような動きは自治体によって増えていく事が予想されます。

不動産購入時にマンションを検討される方は「管理費」にも必ず注目してもらいたいと思います。

今後の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

売る時に価値が下がりやすい物件とは?(嫌悪施設編)前のページ

大雨による河川の氾濫次のページ

ピックアップ記事

  1. 立地適正化計画をご存知ですか?
  2. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  3. 住宅購入は不安でいっぱい
  4. 危険な場所は 地形図で見分ける
  5. 土地価格の相場を知る方法

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    空き家問題…

    空き家問題は最近ではニュースで目にする事も増えているかと思います。…

  2. 不動産取引ガイド

    ご存知ですか?ハザードマップ

    3.11の衝撃2011年3月11日、東日本を中心とした大災害が…

  3. お金・ローン・税金

    『ローンの返済を具体的に比較検討、シミュレーションするならこれ!』

    物検討物件もある程度絞られてきた・・・、実際にこの物件を購入するかしな…

  4. お金・ローン・税金

    住宅ローン控除を理解しておきましょう。

    住宅借入金等特別控除とは、居住者が住宅ローン等を利用してマイホームを取…

  5. 不動産取引ガイド

    住宅を購入する際の販売図面に記載されてますが、あの数字の意味ご存知ですか?

    今更聞けない!!建ぺい率・容積率について…建ぺい律とは、建築面…

  6. 不動産取引ガイド

    いつからスタートする?!「安心R住宅」とは?!

    夏ごろのスタート予定でした「安心R住宅」の制度がなかなか始まりません。…

  1. 不動産取引ガイド

    今後のテレワーク事情の変化について
  2. 不動産取引ガイド

    中古住宅購入時にはドローンを活用したインスペクションを実施すべき?!
  3. お金・ローン・税金

    20代での住宅購入!将来差がつく!?
  4. 不動産取引ガイド

    コロナ禍が住宅業界に与えた変化。
  5. 不動産取引ガイド

    良いマンションに出会う確率を高める“ちょっとしたコツ”
PAGE TOP