不動産取引ガイド

家計の逆風となる?!『住宅ローン』の金利上昇について

不動産の繁忙期を迎え、不動産が動き時期となりました。また、この不動産購入のタイミングで注目していただきたい事として住宅ローンの『金利』が上げられます。また、2024年の家計に大きな影響を与えそうなのが『金利』の動向と言われています。2023年は日銀が長期金利の上昇を容認する姿勢に転じ、今年はマイナス金利政策の解除に踏み切るとの観測が金融市場で強まっています。解除が実現すれば約17年ぶりの利上げとなり、金利のある世界では、どのような点を意識して家計管理をすればいいのかを解説したいと思います。

■金利上昇が家計の逆風となるのが住宅ローンについて

金利上昇が家計の逆風となるのが住宅ローンと言われます。住宅ローンの金利タイプは、借りた後は金利が変わらない固定型と半年ごとに金利を見直す変動型の大きく2種類存在します。長期金利に連動する固定型は銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)修正以降、引き上げの動きが発生しています。長期金利が今後上昇すれば、新規で借りる人の金利も上がります。

変動型の適用金利は多くの場合、優良企業向け貸出金利である短期プライムレートに一定幅を上乗せした基準金利から、個人の信用力などに応じた優遇幅を差し引いて決まります。2016年2月のマイナス金利導入後も多くの金融機関は短プラと基準金利を下げておらず、マイナス金利が解除されても引き上げないだろうとの見方が強いと言われています。基本的に優遇幅は完済するまで変わらないため、基準金利が動かなければ返済負担も変わりません。

しかし銀行間の金利競争で適用金利は0.3%台まで低下しており、マイナス金利解除後、一部で優遇幅を縮小する動きが出てくる可能性はあります。新規の借り入れを検討している人は留意しておきたいポイントです。

■不動産購入時に意識したい『貯蓄』の金利について

一般の個人が「金利」と聞いて思い浮かべるのが預金金利と言われています。預金金利は長らくゼロ近辺で推移する状態が続いてきましたが、足元で変化の兆しが見えています。昨年は日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を2度にわたり修正したことで長期金利が上昇しました。これを受け定期預金の金利を引き上げる動きが広がり、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行など大手行は2023年11月、10年物の金利を年0.2%と従来の100倍に引き上げました。

貯蓄は家計運営の最も基礎となる部分です。その為、不動産購入前には病気や失業といった思わぬ事態への備えに加え、子供の教育費など目先に必要な資金は、元本割れのない貯蓄で確保するのが原則となります。住宅ローンの返済に使い込みすぎる事の無いよう、事前に計画を立てる必要があります。なるべく多くの金融機関が発表している金利状況を比較した上で住宅ローンの選択をしていただければ幸いです。

■不動産購入時に「資産運用」の概念を検討する!

足元で預金金利が上がったとはいえ、歴史的な超低金利には変わりありません。物価上昇が続けば現金の価値は目減りするため、長期の資産形成に貯蓄だけで対応するには限界があります。特にインフレ下では株式などリスク資産を運用する重要性が増します。

■不動産購入時に少額投資非課税制度(NISA)の資産運用を検討される方へ

今月スタートした新しい少額投資非課税制度(NISA)は資産運用で欠かせないツールとなりそうです。運用益の非課税期間が恒久化されたほか、投資枠も大幅に拡大しました。多くの個人投資家にとって、世界株に分散投資するインデックス(指数連動)型の投資信託を買うのが資産形成の王道と言われます。代表的な世界株指数の年利回りは直近30年で平均7%程度となっています。運用コストも低く、長期で安定的なリターンを期待できるとされています。

しかし、株式は短期的に値動きが大きくなりやすく、実際、世界株指数は2008年のリーマン・ショックを挟んで5割超下落した局面がありました。相場が低迷しても定期的に一定額を購入する積み立て投資を続ければ資産を増やせますが、耐えきれずに下落局面で売却するケースは少なくない為、そうした人は運用資産に債券を組み入れるのが選択肢になります。債券は一般的に株式に比べ値動きが小さいという特長を反映する為です。

運用資産の価格変動リスクを軽減したい人は個人向け国債を2割ほど組み入れるのが一案と言われています。個人向け国債の変動金利型10年は半年ごとに利率が見直され、市場金利が上昇すれば利率が上がる仕組みとなります。多くの金融機関で1万円から購入でき、1年以上持てば途中売却も可能となります。通常の債券は金利が上昇すれば価格が下がりますが、個人向け国債は金利上昇時も価格が変わらず元本割れしないのが特徴となります。

例えば世界株を8割、個人向け国債を2割とした場合、世界株が年40~50%下落しても、運用資産の下落率は年30~40%程度に抑えられます。変動10年の1月発行予定分の初回利率は年0.46%と預金金利を大きく上回る水準となっています。安全資産ながら一定の利回りも確保できます。しかし個人向け国債はNISAの対象外となり、NISAは株式を優先し、個人向け国債は課税口座で持つのが選択肢となります。

いずれにせよ、不動産購入時や生活をしていく上において『金利』との付き合い方が重要となります。

今後の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

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