お金

住宅ローンを契約する前に知っておきたい審査について

早いもので平成最後の月末に入りました。先日、新元号「令和(れいわ)」の発表があり、世間では気分的に高揚しているような気がします。

さて、新入社員の教育研修でお忙しくされている方も多いかと思いますが、4月に入り、新生活に向けてクレジットカードの入会や住宅ローンなどの契約をされた方も増えていると思います。クレジットカード会社や金融機関は契約の可否を判断するため、住宅ローンの申込者に対して、過去にカード等の延滞履歴がないかといった情報を調べます。そうした情報をカード会社などはどのように集め、どのように使っているのかをご存知でしょうか?!

〇日本国内に存在する信用情報機関(3団体)について

ちなみにクレジットカード業界や銀行業界などには、消費者ひとりひとりの個人信用情報を企業間で共有する仕組みがあります。一般的には信用情報機関と呼ばれ、日本国内には3団体存在しています。このような信用情報機関が存在する理由として、消費者の信用度を確かめ、多重債務の発生などを防ぐのが目的と言われます。

個人信用情報機関は国内に3つの機関が存在し、カード会社などが加盟するシー・アイ・シー(CIC)、貸金業者が中心の日本信用情報機構(JICC)、全国銀行協会が運営する全国銀行個人信用情報センター(KSC)です。

どのような情報が記載されているのかというと、代表的なのがクレジットやローンの契約内容、毎月の支払い・返済状況、現在の債務残高です。契約の申し込みを受けた会社はその人の情報を機関に照会し、問題ないと判断すれば契約します。延滞が重なっていたり、複数社に同時に申し込んでいたりすると契約を断ることがあるようです。

各信用情報機関が、ネットワークを通じて横断的に情報をやり取りすることもあり、クレジットカードで支払い遅延を起こした人が銀行でローン契約を申し込んだ場合、銀行はカード業界の機関シー・アイ・シー(CIC)の情報を入手して審査の参考にします。

あるいは携帯電話会社で分割払いを行い、スマートフォン(スマホ)を買った人が延滞をした場合、その情報は、カード会社や金融機関などが把握できるようになります。

携帯電話会社は信用情報機関に加盟しており、その情報はネットワークを通じて他の業界も把握できる仕組みになっています。日本学生支援機構から奨学金を借りて延滞した場合も同様に情報は共有されるようです。

住宅ローン審査を行う際に、過去の割賦販売で携帯電話を購入された方は、その存在を忘れ、減額回答が出されるケースもあり、また、奨学金の存在はローンには関係ないのではと判断される方もいらっしゃいます。

個人信用情報機関に開示申請をすると「開示報告書」を見ることができ、自分自身の信用情報を確認できます。郵送などで手続きも取れますので、ご興味がある方は、ぜひ、ご確認いただければ幸いです。債務整理や支払いの延滞をした方(俗に言うブラックリスト入りの状態の方)は信用情報に悪い履歴が残っているようです。このような場合は自身の支払い状況に問題がないかを定期的に確認すると良いようです。

クレジットカードの特典目当てなどで複数枚クレジットカードを作った結果、自信で把握しきれなくなり、どのカードを契約しているかをお調べする方もいるようです。原則、情報開示を請求できるのは本人のみとなっています。

〇情報開示に必要なもの

信用情報開示請求に必要なものは、登録情報開示申込書、発行手数料、本人確認書類(身分証明書)の3点です。(インターネットで開示請求を行う場合、登録情報開示申込書は不要とのこと)

登録情報開示申込書は、個人信用情報機関のホームページからダウンロードすることができます。発行手数料はクレジットカード、定額小為替証書(ゆうちょ銀行、郵便局にて発行、発行日から6か月以内のもの)で支払いができます。本人確認書類は、下記のうちいずれかが必要とのこと(CICの場合)。

運転免許証 / 運転経歴証明書 / パスポート / 住民基本台帳カード / 個人番号カード(マイナンバーの通知カードは本人確認書類として使用できません)

外国人登録証明書、もしくは在留カード、もしくは特別永住者証明書 / 各種健康保険証 / 公的年金手帳 / 福祉手帳 / 戸籍謄本、戸籍抄本、除籍謄本のいずれか /

住民票 / 印鑑登録証明書 / 個人番号カード(マイナンバー)

信用情報機関には別の利用法があります。運転免許証や健康保険証など身分証明書を紛失すると、他人がそれを悪用して本人になりすまし、クレジットやローン契約を結ぼうとするかもしれません。そのような場合、信用情報機関はそうした紛失情報の届け出を受け付けており、紛失後すぐに知らせておけば、加盟各社は情報を共有でき、契約審査時に気付く事が出来るようです。結果、悪用を防げる可能性が高まるようです。

いずれにせよ、住宅ローンを契約する前には、ローン審査を実施されると思いますので、どのような基準でローン審査を行っているかを把握する事は非常に重要です。

また、不動産購入時の場合、物件が決まりそうになって慌てて、住宅ローン審査を実施される方を良くみますが、なるべく物件が決まる前に住宅ローン審査だけは通しておいていただければ幸いです。

ぜひ、今後の参考にお役立てください。

法人営業部 犬木 裕

迷惑行為…迷惑をかける側にならないような対策はしていますか?前のページ

知らないと損をする3000万円控除とは!?次のページ

ピックアップ記事

  1. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  2. 土地価格の相場を知る方法
  3. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  4. 立地適正化計画をご存知ですか?
  5. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    住宅ローン困窮者が5万人を超えていますが、新規で住宅ローンを組まれる方が急増?!

    住宅ローンの返済に困窮する人が増えているようです。金融機関から返済猶予…

  2. 不動産取引ガイド

    不動産登記 住所変更義務化?!

    今回は、購入した物件の登記をきちんと変更しておいた方が良いケースのご紹…

  3. 不動産取引ガイド

    狭い土地には建物を建てられない!?~敷地面積の最低限度について~

    物件の販売チラシの隅っこに「敷地面積の最低限度100㎡」といった記載が…

  4. 不動産取引ガイド

    お住まい購入に必要な「老後に備えた住替え」という視点

    先日、世帯主の年齢が50歳以上の「シニアカップル世帯」で新築マンション…

  5. 不動産取引ガイド

    2020 年8月度の不動産相場

    公益財団法人東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)から、2020…

  6. 不動産取引ガイド

    外壁の色と室内温度は関係

    我が家の外壁は黒なのですが黒い外壁は夏は暑いのですか?と聞かれたこ…

  1. 不動産取引ガイド

    2019 年11月度の不動産相場
  2. お金・ローン・税金

    見飽きたテーマ「賃貸VS持ち家の『損益分岐点』」
  3. 不動産取引ガイド

    不動産登記事項証明書がバージョンアップ!QRコードが追加されました!
  4. 不動産取引ガイド

    中古を買ってリフォームしよう
  5. 不動産取引ガイド

    注文住宅と建売住宅の違い?
PAGE TOP