不動産取引ガイド

住宅購入時に実家の『相続問題』を考える?!

2021年まで人口増加率が全国の市で6年連続のトップだった千葉県流山市でも、空き家問題の波がじりじりと押し寄せています。そもそも、空き家はどうして増えていくのでしょうか?その理由としては下記の通り、いつくか存在します。

一つは人口減少問題です。 特に地方では少子高齢化が進んでおり、人口が減少しています。これにより、需要が減って空き家が増えているという事です。二つ目としては都市集中が進んでいる事が理由です。若者が仕事を求めて都市部に移動するため、地方の家が放置されがちです。また、相続問題が上げられます。親が亡くなった後、相続した家をどうするか決められず、そのまま放置されるケースも多いです。実はこの理由が多くの空き家を作っています。また維持費の負担が相続に課せられるという事です。空き家の維持管理には費用がかかりますが、住まない場合はその負担を感じる人が増えています。最後に住環境の変化:が上げられます。生活スタイルや働き方の変化により、郊外や田舎に住む魅力が減っていると感じる人が多くなっています。これらの要因が重なり、空き家が増えています。

■人口増加率が6年連続のトップだった千葉県流山市でも、空き家問題が発生!

開発がめざましくファミリーの移住が進む流山市「おおたかの森」と対照的に、昭和に発展した街区では住民の高齢化が進み「空き家予備軍」が増えています。問題が深刻化する前に「予防」しようと流山市の地元民が決起したようです。

江戸時代に水運などで栄えた流鉄流山線、流山駅周辺の「流山本町」地域では相続問題を抱える世帯が増えているようです。将来相続する人や収支を考え建物の一部を貸したり駐車場にしたりすることを決めた方や生前に何か考えておいて欲しかったと考える方も居るようです。

■空き家が生まれる根本的な要因は高齢化・相続問題です!

空き家が生まれる根本的な要因は高齢化・相続問題です。住んでいた人が亡くなったり介護施設に入ったりして空き家になり、相続人などによる売却や賃貸の手続きが様々な障壁から進まず放置されてしまうケースが後を絶ちません。

総務省の調査によると、2023年10月時点で全国の住宅総数の14%にあたる900万戸が空き家でした。流山市は空き家率が9%(2018年調査)で、全国値より低く、65歳以上の高齢化率は2割強と、これも全国的にみれば低い水準にあります。

しかし流山は地域の格差が大きく、例えば1950年代から開発が進んだ東武野田線の江戸川台駅周辺など市の「北部地域」は高齢化率が3割強で、人口減に突入しています。空き物件も目立ち始めている状況です。

実は空き家が増える要因として、上記にも記載をしましたが、「相続問題」が上げられます。親族が亡くなって相続した不動産について相続登記がされていないケースが多いことが、所有者不明土地問題として大きな社会問題になっています。相続登記が放置され、所有者がわからない空き地が増加したり倒壊の危険のある家屋が増えたりして、地域の暮らしにも悪影響が及んでいます。

そこで少し前には法務省・日本司法書士会連合会と一緒になって、この問題を解決する取組みの一環として、「エンディングノート」というものが作られています。相続・遺言・後見などの情報をわかりやすく説明し、令和6年4月には、相続登記が義務化されて、益々このノートの活用が増えていく事が望まれています。

<エンディングノート>

放置された家が増えれば街の景観が悪くなり、住民同士のトラブル、放火や窃盗のリスクも高まります。住み心地が悪くなれば新たに移り住む人が増え、地域の衰退や格差拡大に拍車がかかるという悪循環が生まれます。問題が表面化する前に対処するべく、地元に根付く人々が知恵を出し合い、空き家の予防に注力するのが、住民らでつくる「流山・空き家を生まないプロジェクト」というものです。2024年8月下旬に本格始動しました。

<流山・空き家を生まないプロジェクト>

空き家になった後に対処法などを決めると、時間や手間が多くかかったり、相続人同士でもめたりしてそのまま放置されてしまいやすいと言われます。住む人がいる間に親族間などでの話し合いを促したり、空き家を所有し続けるリスクを伝えたりします。そのような観点から、上記のエンディングノートの活用は重要です。

流山市の事例は、街の未来に危機感を持つ人たちが業種の垣根を越え、交流、議論する場をつくり、何が街に本当に必要かなどを検討し、住民の需要と空き物件を「仲介」することなどを構想するといったものです。

住宅購入をする際には色々調べ物をされる方が多いと思いますが、実家の不動産が相続後、どのようになるべきなのかを考え、もし空き家になりそうな不動産であれば、実家の家族を交えて、今後の住宅購入をご検討いただきたいと思います。

いずれにせよ、社会問題化される空き家問題、人口が減り続ける日本においては避けては通れないものです。

ぜひ、今後の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

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