不動産取引ガイド

空き家活用が本格始動!放置空き家を減らす動きも必要?!

全国の自治体が空き家対策に力を入れ始めました。高齢化や人口減少で、賃貸向けなどを除いた「放置空き家」は2023年に過去最多となっています。管理が行き届かない空き家は火災リスクや治安の悪化にもつながる為、5年前より空き家率を抑えた広島県は県内市町と連携し、仮想現実(VR)を活用したマッチングサイトなどで移住者らを引き寄せているようです。テクノロジーを活用した不動産取引も注目されています。

■全国の空き家はどれくらいの数になっているのか?

総務省の2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万戸と30年間で約2倍に増えています。このうち、居住者がいないか長期間不在で賃貸などの対象でもない放置空き家は385万戸と前回の2018年調査より約10%増加しています。住宅に占める割合(空き家率)も5.9%と0.3ポイント上がった計算となります。一方、都道府県別では熊本が0.3ポイント改善し、福岡、広島も0.2ポイント下がりました。広島県は不動産取引の専門家などでつくる「空き家活用推進チーム」を市町などに派遣し、移住者向け住宅への転用などの相談に応じています。県内市町の空き家情報を一括掲載する情報サイト「ひろしま空き家バンク みんと。」も開設。「海が近い」「農地付き」など多彩な条件で利用可能な空き家を検索できるのが特徴です。

■「ひろしま空き家バンク みんと。」とは?!

<ひろしま空き家バンク みんと。>
https://minto-hiroshima.jp/

空き家の活用者へのインタビューや補助金情報、VRを使った物件映像なども掲載しています。空き家の隠れた魅力を紹介している「広島M不動産」も楽しく閲覧できます。

広島県江田島市は県に先駆けて2021年からVRを活用した物件紹介に取り組み、空き家率を1.7ポイント下げました。市職員が360度撮影可能なカメラを使い、実際に住宅を内覧しているような映像を撮影しているようです。設備や広さなどを隅々まで確認できる事が好評で、2023年度の空き家の成約数は34件とVR導入前に比べて大幅に増えたそうです。

空き家は災害復興の妨げにもなるマイナス要因にもなる事が予想されます。2016年の熊本地震では倒壊の恐れがあっても所有者不明で撤去できないケースもあり、熊本県は宿泊・交流施設や移住者用住宅などに改修する費用を補助しており、これまでに6町村から申請があったようです。熊本市は市内各地に相談員として配置した宅地建物取引士が相談に応じる体制を整え、相続などで突然所有者になっても管理方法が分からない人が多いので、その対策に乗り出しています。危険な建物の撤去などにもつながり、空き家率は0.5ポイント低下しました。

■他のエリアの空き家対策・取り組みについて

大分県国東市は地域ごとに「空き家活用推進員」を配置して地元住民のネットワークでリアルタイムに空き家情報を掘り起こし、マッチングサイトなどを通じて長期間放置されることを防ぐ動きを取られています。安い家賃で移住者に貸し出す事業も展開しており、空き家率は3.5ポイント下がりました。

栃木県小山市では小山工業高等専門学校の学生による利活用の提案を実施させてみたり、神奈川県小田原市では不動産無料診断制度を導入、石川県内難町では空き家バンクへの登録が郵便局で出来るようにしたり、福岡県福岡市では福祉目的に転用する空き家バンクを設置してみたり、独自の取り組みも増えてきています。

国も対策に本腰を入れています。2023年施行の改正空き家対策特別措置法は、倒壊などの危険が迫る空き家のほか壁や窓が一部損壊した管理不全物件も市区町村の行政指導の対象に加えました。2024年4月からは不動産の相続登記も義務化して、空き家放置となる前に対策を講じたい狙いがあります。空き家を朽ち果ててから壊すのでは自治体にも所有者にとっても負担が大きい為、相続人を含めて所有者に管理者意識を持ってもらうと同時に、自治体や関係者が一体になって活用策を考える仕組み作りが重要となるようです。

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