お金

老後問題は「未来」の話ではなく「対岸の火事」でもありません

先日人口減少問題を取り上げたので、今回は高齢者問題です。

これから家を買う方にとっては、高齢者問題は少し遠い未来の話に思えます。実際、ご両親の介護などが発生していなければ、実感しにくい問題です。

高齢者問題と一口に言っても様々な問題があるので、ここでは、後期高齢期のお金の問題に絞ります。端的に言うと、長生きするだけのお金が不足する、という問題です。

先日報道され見事に炎上したニュースがあります。

人生100年時代に向け、長い老後を暮らせる蓄えにあたる「資産寿命」をどう延ばすか。
http://news.livedoor.com/article/detail/16501409/

こういった内容なので当然ながら若い世代は反発するわけで、見事に炎上したわけです。

「人生100年の蓄え」国の指針案が炎上 「自助に期待するなら年金徴収やめろ」批判殺到
https://news.yahoo.co.jp/byline/okadayuka/20190523-00127060/

さて、政府が示した人生100年時代では、老後資金が1300万円~2000万円不足するとされています。一般的な家庭で想定すると、老後に備えて現役時代に1300万円~2000万円を貯蓄するのは無計画では達成が難しいです。
そこで、政府は計画的に貯蓄しましょう、と主張する訳ですが、本来であれば老後の資金問題は「年金」が解決するはずだったので、こういう方針が発表されると若者が反発するのは当たり前ですね。
終身雇用も限界が来ていて、退職金制度も危うくなっている状況を踏まえると、かつての60歳で定年退職、老後は退職金と年金で悠々自適、という老後の世界は、最早夢物語といったところでしょうか。

この老後のお金問題の解決策の一つが「住宅」です。
よく賃貸VS購入どちらが得か?みたいな記事が出ますが、必要になったら家を売るという選択肢が示唆されることはあまりありません。
住宅は「資産」とされるのに、売ったり貸したり「資金化」することは想定されず、本人が亡くなった後の相続財産として取り扱われます。
これは住宅という資産が流動化しにくいからだと言われますが、購入時に将来的に売ることを想定していないのが大きな要因ではないかと思います。
(最後は自宅で大往生という古い価値観が根付いているからでしょうか)
ただ、老後に不足するお金の全額とは言えなくても、老後のお金問題を解決する具体策になることは間違いありません。
年金や退職金が機能しなくなることを思うと、せめて必要になったら住宅をお金に換えることを想定しておかないと、「お先真っ暗」状態に陥ることが懸念されます。

必要になったらお金に換えることができる住宅の条件は立地が良いことです。人口減少時代においても人が集まり続ける街を選ばないと、どれだけ見栄えや中身が良い住宅でも、買い手・借り手が付かなければお金に換えることはできません。

これからの住宅購入は、自分にとって都合の良い住宅ではなく、より多くの人にとって住みやすい・使いやすい住宅選びが重要となります。

老後のお金問題は人口問題に起因するものなので、おおよそ先が見えている問題です。
そして、将来お金に換えることができる住宅を買うことができるかどうかが、将来陥ることが懸念されるご自身の老後問題を解決するための対策に大きく影響します。

世間を騒がせるくらいに顕在化した高齢者・老後問題は、現在の高齢者特有の問題ではなく、将来的にご自身が直面する問題として、今から対策が必要とされる問題と言えます。
決して対岸の火事ではないので、営業マンに乗せられてホイホイと気軽に家を選んではいけませんよ。

相続手続きが簡単になる!?改正戸籍法が成立しました前のページ

近年追加された田園住居地域次のページ

ピックアップ記事

  1. 立地適正化計画をご存知ですか?
  2. 土地価格の相場を知る方法
  3. 危険な場所は 地形図で見分ける
  4. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  5. 住宅購入と 生涯の資金計画

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    ペット付きマンション。そろそろペット付き戸建も登場か…

    最近猫付きマンション賃貸が人気が出ているのを耳にしますが、どのようにし…

  2. 不動産取引ガイド

    あてにならない土地の広さ

    「公簿売買」と「実測売買」という言葉をお聞きになってことはあるでしょう…

  3. 不動産取引ガイド

    高齢となった親の住居を考える?!老人ホームの入居と税金について

    年末年始を実家過ごす方も多いかと思います。その際に実感される方も多いか…

  4. 不動産取引ガイド

    耐震・制震・免震 とは?

    耐震性の高い住宅にするための建物の構造形式には、一般に、耐震構造、制震…

  5. 不動産取引ガイド

    マンションの敷地の権利~定期借地の場合~

    マンション購入の場合に注意すべきポイントにはいくつかありますが、そのう…

  6. 不動産取引ガイド

    家探しは慎重に!「大正9年の調査開始以来、初めての減少(平成27年国勢調査)」

    2月下旬に「平成27年国勢調査」速報集計の集計結果が公表されました。日…

  1. 不動産取引ガイド

    商店街のある街
  2. 不動産取引ガイド

    信頼できるパートナー選び
  3. 不動産取引ガイド

    マンションなどでよく見る、ベランダガーデニング。
  4. 不動産取引ガイド

    2021年の不動産市況は高止まり
  5. 不動産取引ガイド

    昨今の首都圏マンション高騰状況について、今後はどう考えるべきか
PAGE TOP